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2014-08-08 00:00
日本はARFの中東版構想を提示すべき
津守 滋
立命館アジア太平洋大学客員教授
集団的自衛権、集団安全保障を議論する過程で、ペルシャ湾での機雷掃海問題が一つの焦点になった。日本の原油輸入の依存率が90%に達するペルシャ湾が、日本の安全保障上死活的に重要であることは論を俟たない。航行するタンカーの障害となる機雷の除去は、場合によれば日本の自衛権行使の範疇でとらえられるべき問題でもあろう。
そのような個別の対処療法は別として、日本は湾岸の安全保障の仕組み(architecture)について知恵を出し、積極的に構想を提示すべきではないか。筆者はクウェート在勤中(98-2000年)から一つのアイデアを温めてきた。協力的安全保障(cooperative security)、reassuranceを精神とする多角的安全保障の枠組みを作ることを目的とする、いわばARFの中東版である。概要はおおよそ次の通り。メンバーは、イラン、イラク、GCCの加盟6か国。オブザーバー(準メンバー)は、日、米、EU、ロシア、中国、(エジプト、トルコ、イスラエル)。意思決定機関は、ARFと同様、閣僚会議、SOM等により構成。事務局所在地はクウェート。目的は、habit of dialogue により加盟国間の信頼醸成を図り、紛争を予防する。ARFと同様、次第に紛争解決の機能を持たせるようにする。
この提案を推進するうえで、イランに足場を持ち、太いパイプがある(加えてその地理的位置)クウェートが中心となり、この地域に圧倒的利害関係を有し、かつARFの創設を提案して以来、この組織と深い関係を持つ日本が中心になってアドバイスを行う形をとることを頭に描いていた。
筆者のクウェート在勤時に、イラクとの関係の正常化を果たした後の安全保障の仕組みとして、この構想をクウェート政府関係者にぶつけたところ、一定の関心と賛同が示された。このような湾岸地域全体の包括的安全保障政策について貢献することこそ、「積極的平和主義」を実践するゆえんである。ちなみにイランとの核協議のP5+1の枠組みに参加できなかったことは、この観点からも惜しかった。
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