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2014-04-24 12:24
(連載1)米中サイバー戦争の休戦で次の標的は日本?
田村 秀男
ジャーナリスト
3月下旬、米国のオバマ大統領と中国の習近平国家主席が訪問先のオランダ・ハーグで会談し、「新型の大国関係」の強化で一致したという報道が流れた。もっともらしいが、どうとも受け取れる外交特有のレトリックかと思っていたら、その後の展開で中身がわかってきた。新型関係の核心はどうやら、「米中サイバー戦争の休戦」交渉である。
国家間のサイバー戦争というのは、軍のサイバー攻撃部隊が相手国のインターネットの主要ポイントに侵入し、大量のバグ情報などを流して機能不全にする。軍などの政府機関、さらには金融市場など民間のサイトも攻撃される。やられた方は、やはり軍のサイバー部隊がやり返す。通常の戦争と違って、宣戦布告はないし、正体を明かさない沈黙の戦争でもある。そんな戦いを激化させたところで、お互いの利益になるはずもないから、いい加減にしようじゃないか、と米国側が中国側に申し入れたのだ。
訪中したヘーゲル米国防長官は4月8日、中国の常万全国防相と会談した際、「誤解が判断ミスに至る危険を減らすため、米中双方がサイバー能力を互いに開示すべきだ」と申し入れた。この日の北京の人民解放軍国防大学での講演で、長官はサイバー攻撃に関する米軍の戦略をすでに中国当局者に説明したことを明らかにし、中国軍も同様にサイバー能力の透明性を向上させるよう促したという。
ヘーゲル氏は、訪中に先立つ3月28日に「国防総省は米政府のネットワーク外でサイバー作戦を展開することを控える」との方針を示し、他国にも同様の措置を促している。これに対し、中国外務省の洪磊(こう・らい)報道官は3月31日、「インターネット上で平和を維持することは中国と米国双方の利益にかなう」と歓迎した。だが、たかが中国外務省報道官発言である。人民解放軍の見解でも何でもないし、党中央の決定を受けたわけでもない。それを先刻承知のヘーゲル氏は今すぐ「休戦」は無理でも、まずはお互い手の内を見せ合おうじゃないか、というわけで、米側から情報開示したうえで、北京に乗り込んだ。(つづく)
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