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2013-08-20 10:15
(連載)消費増税を「国際公約」とうそぶく恥じない面々(2)
田村 秀男
ジャーナリスト
最近の消費増税翼賛会グループの欺瞞ぶりを端的に表したのが、「消費増税は国際公約」という見解である。かの麻生財務相はモスクワでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後、「消費増税は国際公約に近い」と言い、日経などはさらに増税やむなしの論拠として「国際公約だ」と言い切っている。その実、このG20会議の眼目は「財政健全化より成長を優先」だったのだが、日本だけは増税を優先するという。2011年11月のカンヌでのG20首脳会議の「行動計画」で、日本は野田佳彦前首相がわざわざ増税を盛り込んだ。安倍政権がそれを国際公約として踏襲するとでも、麻生氏は言い張るのだろうか。
もとより、増税を国際公約する、という発想はまともな国ならありえない。しかも、日本は外国資本に依存するギリシャではなく、世界最大の債権国である。その国が国民の負担増を強いる政策を国際公約にするというのは、異常きわまりない。日本が大型増税によってデフレを継続することは、米国金融主導のグローバリズムへの日本の「協調」を意味する。金融面での国際協調の内実は国益をかけた騙し合いゲームである。米欧が自国の利益を優先する範囲内で合意を図るのに、日本は自国民を犠牲にしてでも増税を公約してしまう。
国際金融市場とは何か。異形の大国中国がいかに米国債を保有しようと、それは米国にとって不安材料であり、安定装置はやはり世界一の債権大国である日本からの資金供給ルートしかない。日本がデフレである限り、日本国民の巨大な余剰資金が国内生産に使われずに、海外に出ていかざるをえず、米国債投資に回る。ウォール街にとってドルに対して価値が上がるデフレ下の円建て金融資産はラスト・リゾート(最後のよりどころ)となる。消費増税ともなれば、日本の消費者の負担増を担保にする日本国債は高い価値が保証される。これがワシントン主導の国際通貨基金(IMF)が日本の財務官僚と組んで盛んに消費増税を日本に催促してきた背景である。
他方では、「財政再建よりも経済成長を優先すべし」とIMF、G7、G20ともうたっている。にもかかわらず、世界最大の債権国、つまり最大の貸し手である日本だけは緊縮財政を優先するというのは、倒錯としか言いようがない。(おわり)
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(連載)消費増税を「国際公約」とうそぶく恥じない面々(1)
田村 秀男 2013-08-19 17:52
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(連載)消費増税を「国際公約」とうそぶく恥じない面々(2)
田村 秀男 2013-08-20 10:15
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