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2013-05-19 15:29
(連載)尖閣摩擦は世界のflush point(2)
坂本 正弘
日本国際フォーラム客員上席研究員
日本は、戦後、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼し」憲法9条を定め、特に中国には神経を使ってきた。しかし、戦後、日中関係は中国の国力増強とともに、悪化する印象がある。現在の尖閣の高い緊張も中国の長期な、周到な計画の策略だとの意見があるが(防衛研修所『東アジア戦略概観2013』参照)、中国への対応は、改めて、腰を据えて、対応しなくてはならない。
中国は、長期にわたり、尖閣諸島を日本領土と、人民日報や地図に記してきたが、資源発見の後、まず、1971年主権を主張し、日中平和条約と絡めて棚上げを提案した。しかし、1992年の領海法で一方的に中国領土と宣言し、国力の強大になった現在、反日感情を煽り、武力を背景とした対決を示す。今後の増大する軍事力で脅しながら、長期の戦いを挑んでいる。さらに、人民日報は、最近、沖縄の主権にも疑義示す。かかる隣人の行動は、憲法の想定を完全に覆すものである。
2010年の防衛大綱は、動的防衛力を提起し、南西方面への展開、海・空能力の増強、緊急即応軍の強化などを規定したが、上記の安全保障環境を踏まえ、新大綱を策定中である。残念ながら、日本の軍事力の増強速度は、今後、中国に劣ると考えられる。防衛体制の抜本的改革が必要だが、米軍との協議を飛躍的に強化し、米軍との役割分担を明確にし、その中で戦力を高める方策が賢明であろう。その中で、改めて、海空への資源傾斜、空対地攻撃能力の拡充、陸自の海兵隊化など、思い切った再編成が必要であろう。
幸い、アベノミックスにより経済は活性化し、支持率は高く、25年度防衛予算も増加に転じた。最近の、アジア、ロシア、中東、米国との外交には評価がある。だが、ISA会議では、日本は、ほとんどの近隣諸国と領土問題を抱え、解決の意欲があるのかとの見解も出た。中国とはまず、誤解からの軍事衝突回避の枠組み設置が緊急の課題だが、最近の台湾との漁業協定締結は朗報である。しかし、特に期待するのは北方領土問題の早期解決である。筆者は、中国に対し、日本とロシアは自然の友の地勢だと考えている。長期政権の期待も出ているが、安倍首相の積極的外交が、日本の安全保障を強め、国際的地位向上に資することを強く期待するものである。(おわり)
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(連載)尖閣摩擦は世界のflush point(1)
坂本 正弘 2013-05-18 11:02
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(連載)尖閣摩擦は世界のflush point(2)
坂本 正弘 2013-05-19 15:29
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