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2013-03-11 21:31
(連載)「ケリー外交」は大丈夫か?(1)
高畑 昭男
ジャーナリスト
オバマ米政権2期目の新たな外交・安保チームが編成途上にある中で安倍晋三首相が訪米し、日米首脳会談に臨んだ。北朝鮮は昨年末の長距離弾道ミサイル発射に続き、3回目の核実験を強行した。尖閣諸島をめぐる日中対立も先鋭化し、海上自衛隊護衛艦に対するレーダー照射事件まで起きた。アジア太平洋の波はオバマ政権1期目発足時よりもさらに荒くなり、険悪の度が一気に高まっているのが現状だ。
オバマ政権は1期目後半の2011年、クリントン前国務長官を推進役にアジア太平洋を重視する戦略シフトに転じた。その最大の理由は、南シナ海などを「核心的利益」と称し、力ずくの海洋権益拡大を図る中国の急速な台頭が地域にもたらす危険性を実感したからにほかならない。豪州などへの米海兵隊の広域展開や、日韓に加えてフィリピン、インドネシア、インドなど同盟・パートナー諸国との連携を通じて中国の行動を抑止・牽制するための包囲網づくりに乗り出したのは周知の通りである。
「オバマ2」外交にとってアジア太平洋で問われるのは、この路線を着実に継続発展させられるかどうかだ。中でも、新外交・安保チームの柱となるケリー国務長官らに対中「牽制」よりも「協調」に傾きがちな姿勢が見えるのは気がかりといえる。ケリー氏は1月24日、上院外交委員会の指名承認公聴会で「中国を敵対者とみなすべきでない。世界の経済大国であり、関係の強化が重要だ」と証言した。
さらに、アジア太平洋の米軍態勢強化についても「私は増強が不可欠とはまだ得心していない」と語り、「中国から見たら『米国はわれわれを包囲するつもりか』と言うだろう。慎重に進めなければならない」と、対中配慮を強調した発言で周囲を驚かせた。ケリー氏はこの後、「中国の意図や行動を見誤っているわけではない。(米軍態勢を)現行水準から後退させるというのでもない」と述べたものの、とって付けたような印象は否めなかった。(つづく)
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