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2012-09-23 00:01
(連載)中国の暴動を、ビジネスの中国偏重や反TPPの転換点に(2)
鈴木 馨祐
前衆議院議員
そもそも、この様な政治的リスクがあることは何年も前からわかっていたことです。また簡単に撤退が出来ないなどの問題も明らかになった上での各企業の進出でした。各企業にあっては、これまで目の前の利潤に囚われてあえて低く見がちだった中国の政治リスクを適正に評価し、今後の海外戦略を変更していく必要があると思われます。
「日本は中国抜きではやっていけないが、中国は日本抜きでやっていける」という中国側の勘違いが今回の暴動の原点にあることを考えれば、中国の日本依存はやむを得ないにしても、日本としてはリスクの分散をはかることがこれからは必要です。具体的には、中国の工場においては最終消費地が中国であるものをのぞいては中国以外の国に移転していくことが必要です。この点を支援するためにも、我が国として、TPPなど、中国抜きの経済連携枠組みを積極的に進めることが必要です。
これまで日本の近隣諸国で、本格的な体制崩壊や内戦といった事態は朝鮮戦争以降ありませんでした。そのために、政治リスクを低く考えがちなのはやむを得ないことです。しかし、有事のビジネスの利益までは政治は保護することは出来ません。また保険においても戦争は地震などと並んで基本的には免責事項になっています。民間企業といえども、自らの判断でリスク管理を行うことが今後必要となってきます。大学などの高等教育においても日本には諸外国で当たり前に存在している危機管理学、いわゆるsecurity studiesがありませんでした。今度の中国の暴動を契機に、日本は、官民ともにリスクに強い社会に転換していかねばなりません。
また経済連携などについても、反米保守と言われる勢力がアメリカと連携するTPPよりも中国と連携するASEAN+3、6を、などと主張していますが、今回の件からも、日本の国益を考えれば、価値をある程度共有する国の間で地域のビジネスのルールの基盤づくりを進める方が望ましいことが明らかになったのではないでしょうか。この点についても、政治全体が方向性を明確に打ち出すべきです。(おわり)
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(連載)中国の暴動を、ビジネスの中国偏重や反TPPの転換点に(1)
鈴木 馨祐 2012-09-22 17:47
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(連載)中国の暴動を、ビジネスの中国偏重や反TPPの転換点に(2)
鈴木 馨祐 2012-09-23 00:01
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