米 CSIS の7月25日付けウェブサイトで、CSIS Pacific Forum 所長の Ralph A. Cossa が、韓国で起きている米国戦術核再導入論について、反対する立場から論じています。すなわち、「韓国では米韓同盟への支持が今ほど強くなったことはないが、そうした中で、多くの韓国人が韓国に米国の戦術核兵器を再導入すること、あるいは自前の核兵器を持つことを主張している。これは米国の拡大抑止への信頼欠如を意味するものではない。ただ、韓国人の間には、米国の戦略核は戦術レベルには使えない、従って、天安沈没、延坪島砲撃などの北の挑発を防止できない、ということへの不満、さらには中国の北支持に関する不満がある。つまり、戦術核再導入論は、戦術核なら北と中国に対する十分な脅威になる、あるいは再配備すると脅すことで、北との交渉材料や梃子になり、非核化につなげていける、という考えだ。しかし、戦術核再配備や、再配備の脅し、あるいは韓国の独自核は、むしろ逆効果になる可能性が高い。確かに中国に対しては、北への圧力を強める刺激にはなるだろうが、そもそも中国は北を本当に追い詰める気はない。それに、北はその公式発言を読む限り、米国の核は既に朝鮮半島にあり、それが実際に半島にあるか、あるいは他所にあって韓国防衛に使える状態にあるかの間で大した違いはないと考えている。その上、戦術核再配備は韓国世論の分裂につながり、北はそれにつけこむことができる。加えて、北の核武装についても口実を与えてしまう」と言っています。