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2011-08-30 00:00
韓国内の米戦術核再導入論を米国はどう見ているか
岡崎研究所
シンクタンク
米 CSIS の7月25日付けウェブサイトで、CSIS Pacific Forum 所長の Ralph A. Cossa が、韓国で起きている米国戦術核再導入論について、反対する立場から論じています。すなわち、「韓国では米韓同盟への支持が今ほど強くなったことはないが、そうした中で、多くの韓国人が韓国に米国の戦術核兵器を再導入すること、あるいは自前の核兵器を持つことを主張している。これは米国の拡大抑止への信頼欠如を意味するものではない。ただ、韓国人の間には、米国の戦略核は戦術レベルには使えない、従って、天安沈没、延坪島砲撃などの北の挑発を防止できない、ということへの不満、さらには中国の北支持に関する不満がある。つまり、戦術核再導入論は、戦術核なら北と中国に対する十分な脅威になる、あるいは再配備すると脅すことで、北との交渉材料や梃子になり、非核化につなげていける、という考えだ。しかし、戦術核再配備や、再配備の脅し、あるいは韓国の独自核は、むしろ逆効果になる可能性が高い。確かに中国に対しては、北への圧力を強める刺激にはなるだろうが、そもそも中国は北を本当に追い詰める気はない。それに、北はその公式発言を読む限り、米国の核は既に朝鮮半島にあり、それが実際に半島にあるか、あるいは他所にあって韓国防衛に使える状態にあるかの間で大した違いはないと考えている。その上、戦術核再配備は韓国世論の分裂につながり、北はそれにつけこむことができる。加えて、北の核武装についても口実を与えてしまう」と言っています。
このラルフ・コッサの論評は、韓国では米戦術核の再導入や独自核開発への支持が強いことを示しており、興味深いものです。コッサはそうした政策のデメリットについて考察していますが、韓国ではこうした議論が行われているのに対し、日本では全くと言ってよいほど行われていません。日本でもこうした議論はすべきでしょう。
核の問題についても、要するに、将来日本に核兵器が撃ち込まれないようにすることが最重要です。米国の核を持ち込むかどうかも、そうした目的に沿うか否かで判断されるべきであって、非核3原則の堅持自体が重要という発想は、国際政治上の議論というよりは、被爆国としての感情論に依拠する論でしかありません。
また、米韓関係は日米関係よりも緊密で、重要度を増していますが、(1)米韓同盟が双務的な相互防衛条約に基づくのに対し、日米安保条約は防衛に関しては片務的で、米国は日本防衛の義務を負うのに、日本は米国を防衛する義務がない、(2)韓国でも反基地運動はあるが、普天間移転に際して見られるような騒動はなく、あっても韓国政府がきちんと収めている、(3)日本は「集団的自衛権を持ってはいるが、行使しない」など、米国から見るとイライラするような主張を今なお続けている、(4)韓国は武器輸出に積極的で、成長戦略の一つにしているが、日本は米国と共同開発した武器の第三国移転にも武器禁輸政策を基に種々文句を言っている、(5)アフガニスタンに韓国は軍を出したが、日本は経済援助しかしていない、等を考えれば、それも当然でしょう。どちらが頼りになる同盟国かは明らかです。日本はもっとまじめに核の問題を含めて外交・安保政策を考える必要があります。
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