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2011-07-21 09:44
(連載)時宜を逸した日米2プラス2(2)
高畑 昭男
ジャーナリスト
第二は、対外的にも同盟の足並みがそろわず、日本に対する信頼低下を招いたことである。菅政権が2プラス2開催を渋っている間に、米中間では1月に胡錦濤・中国国家主席の訪米と米中首脳会談があり、5月には第3回米中戦略・経済対話があった。海洋権益拡大と覇権的行動を実力でエスカレートさせる中国に対し、米国が単独で向き合わねばならない局面が急増した。それでなくともオバマ米大統領は昨年末、「日米で対中シフト強化を」とアジア担当チームの刷新に着手し、人事を進めてきた。
これに日本がもっと積極的に呼応し、大震災前に日米共通戦略目標などを定めていれば、一連の米中協議に側面から「助っ人効果」を加えることもできたと思うと悔やまれる。日本の存在感が薄れ、米側では「日本は頼りにならない」と失望が高まる中で、米中戦略・経済対話に基づく米中の「アジア太平洋高官協議」の枠組みが新設され、初会合がハワイで開かれた。アジア太平洋の問題は日本の平和と安全に直結する。米中対話が日本抜きで進む一方で、これにどう関わっていくか、が同盟国として重要な課題となる。
それなのに、北沢俊美防衛相は民主党政権で起きた迷走や遅延について「政権交代に基づく民主主義のコスト(代償)だ」と正当化した。その無責任さには、開いた口がふさがらない。歴史家や第三者の論評ならまだしも、これだけの迷走と遅延と信頼喪失を招いた当事者の1人が、他人事のように言うべき言葉ではあるまい。
2プラス2終了後、ゲーツ米国防長官(当時)は普天間問題で「今後1年に具体的進展を遂げることが重要だ」と期限を切って注文した。北沢氏も含めて、民主党政権はその「コスト」が同盟と日本の国益に与えた重大な損失を改めて深く反省することから始める必要があるのではないか。(おわり)
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(連載)時宜を逸した日米2プラス2(1)
高畑 昭男 2011-07-20 12:31
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(連載)時宜を逸した日米2プラス2(2)
高畑 昭男 2011-07-21 09:44
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