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2010-10-22 10:08
(連載)日中両国の対応は、このままでは両敗具傷(2)
李 鋼哲
大学教授
その後、事件は周知の通り推移してきた。いろんな意見が飛び交っている。
私の見解では、まず日本の海上保安庁の監視船が衝突を理由に逮捕したのは、それほど問題の種にはならなかったはず。領土・領海紛争問題で他の国の間でもよくある行動である。問題は、その後の処理方法であった。日本は処理方法を誤った、と私は考えている。「法律に則って逮捕、拘留した」と言っても、国際関係は国内法律で解決できる問題ではない。これは国際関係の常識である。かつて北朝鮮の金正日氏の長男が偽造旅券で日本に来たときも、いくらでも逮捕できたはずだが、日本政府は政治的な判断で迅速に送り返したので問題にならなかったのである。
日本は、中国人船長を逮捕したまま、長時間を経過させたが、それは中国にとっては挑発行為に見えただろうし、意図的に見えたかもしれない。何かを企んでいると見えたかも知れない。「だったら、徹底的に対抗してみようお」というのが、中国側の対応ではなかっただろうか。中国の諺に「以其人之道、還治其人之身」というのがあり、「相手のやり方で相手をやっつけろ」という意味で使う。まさに、中国はその手法を実行して、日本人会社員4人を逮捕し、この対抗方法で一応問題が解決に向かったのは言うまでもない。
この問題の裏にはなにがあるのか。それは近年時とともに現れてくるナショナリズムの台頭である。数年前に私は日本のある華人系新聞のインタビューを受けたときに「愛国主義(ナショナリズム)の幽霊が東北アジアを徘徊する」と日中韓での対立構造を分析したことがある。先進国と言われる日本、先進国の仲間入りをやっと実現した韓国、急速に躍進する中国。経済的には東アジア時代を謳歌しながらも、それぞれの国のナショナリズムは根強く存在している。領土問題に歴史問題も絡んで、なかなか信頼関係の構築ができない東アジアの諸国。その根底にはこの地域をいまだに徘徊している、ナショナリズムの幽霊がいるとしか言えない。(つづく)
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