どの国にも流行の論調というものがありますが、『ニューヨーク・タイムズ』3月31日付掲載のジョージタウン大学のCharles A. Kupchanの米中関係に関する論説は、今の米国論壇における気分をよく表わしています。すなわち、「(1)米中間の対決ムードは憂慮すべきものであり、双方の指導者は早急にこれを緩和する必要がある。しかし、(2)現在の摩擦は、米中双方の基本的国益の対立というより、双方国内の圧力を受けて、売り言葉に買い言葉にならざるを得ないために生じたものだ。また(3)中国は人民元を切り上げるべきであり、それは中国自身の利益となる。ただ、中国は圧力を加えられれば、頑なになるだけであり、米国は圧力を加えるのは止めるべきだ。さらに(4)米国は、中国への技術輸出制限を緩和し、特に環境技術、省エネ面での共同研究・開発を進めるべきだし、これに対して(5)中国は、対イラン制裁強化、インターネットにおける自由の問題で米国に歩み寄るべきだ」と述べ、「米中両国は、まだ地政学上の戦略的対立には至っていない。しかし今のトレンドにブレーキをかけないと、意見の不一致は、やがて危険な対抗関係に変わっていくだろう」と言っています。