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2009-11-16 20:16
(連載)鳩山首相の「東アジア共同体」構想について(1)
関山 健
東京財団研究員
民主党政権は、アジア外交強化の方針を打ち出している。鳩山首相が提案している「東アジア共同体」も、アジア外交を強化する枠組みとして、民主党のマニフェスト(政権公約)に書き込まれたものだ。そのマニフェストによれば、(1)中国、韓国などアジア諸国との信頼関係強化、(2)通商・金融、エネルギー、環境、災害救援、感染症対策の各分野における協力体制確立、(3)投資、労働、知的財産分野を含む経済連携協定(EPA)交渉の推進などが、民主党政権の進める「東アジア共同体」構築に向けた取り組みである。
「東アジア共同体」という概念そのものは、決して目新しいものではない。皆が知っているとおり、「東アジア共同体」構想は、1990年代初にマレーシアのマハティール首相が提唱した「東アジア経済グループ(East Asia Economic Group)」構想が始まりである。
日本でも、自民党の小泉政権下において既に「東アジア共同体」の構築が長期目標として掲げられていた。早くも2002年のASEAN首脳会議の際には、当時の小泉首相が共同体構築を呼びかけ、続く2003年の日ASEAN特別首脳会議東京宣言においても、将来の「東アジア共同体」構築に向けた決意が表明された。さらに、小泉首相は2004年の国連総会でもASEAN+3の基礎の上に立った「東アジア共同体」の構築を提唱している。
民主党が「東アジア共同体」構築に向けた具体的取組として挙げている個別の内容についても、それぞれ従来から検討されてきたものばかりであり、取り立てて目新しいものはないと言ってよい。むしろ鳩山首相は、マニフェストや一連の国際会議において「東アジア共同体」構築に言及することによって、自民党政権下で日本が進めてきてた方針を民主党政権も承継することを明確にするとともに、その取り組みをさらに推し進める決意を示して、小泉首相等の自民党政権との違いをアピールしようとしたものと解釈できる。(つづく)
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