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2009-10-08 11:10
(連載)日本こそG4構築を目指すべき(2)
関山 健
東京財団研究員
この点、私は、日本の外交が当面目指すべきは、アメリカ、中国、EU、そして日本のG4で国際経済を話し合う枠組みの構築だと考えている。先日、ピッツバーグでG20サミットが開催された。昨年のリーマン・ショック以来、国際金融危機を話し合う枠組みとして、従来の中国などの新興国が含まれていないG8に変わって、このG20という枠組みが定着しつつある。
ただし、私もこれまで何度も多国間協議に出席したことがあるのだが、10カ国も20カ国も参加する大会議場では難しい協議はなかなかまとまらず、結局一部のコアメンバーの非公式協議によって大勢が決まることが多い。G20も、今後国際経済のかじ取り役としてものを決めていくには参加国が多すぎる以上、コアメンバーができていかざるを得ない。そのコアメンバーとして、アメリカは不可欠、欧州諸国はEUでまとまってもらうとして、為替にせよ通商交渉にせよ気候変動にせよ今後の国際経済でものを決めていくのに、中国の意向は無視できまい。
ここで、もし「日本はアメリカに追従する」と各国に思われれば、今後の国際経済の趨勢はアメリカ、中国、EUの三者で決めていかれかねない。むしろ、その三者に日本を加えたG4という枠組みの構築を、日本が積極的に提唱していくべきではないか、というのが私の考えだ。日本政府のなかには、中国を加えると主導権を奪われるのではないかと心配する声があり、今のところG8への中国の参加を頑なに拒む方針を採っているが、日本が好むと好まざるとにかかわらず、また中国自身も必ずしも望んでいないにもかかわらず、今後の国際経済の枠組み作りに、中国は入れていかざるをえない。
それにもかかわらず、日本が中国の参加を拒否していると、かえって日本を除いたアメリカ、中国、EUの三者で趨勢が決まりかねない。昨年末にまとまりかけたWTOのド-ハ・ラウンド交渉など、まさにこうした様相を呈してきている。実は、G4の重要性を真剣に考えているグループも日本政府内には存在するので、今後は日本もG4作りに積極的に動いていくことを期待したい。(おわり)
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(連載)日本こそG4構築を目指すべき(1)
関山 健 2009-10-07 22:32
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関山 健 2009-10-08 11:10
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