「民主３００議席獲得」の予測がすっかり定着した。朝日新聞の昨２７日付の中間情勢調査によれば、「３２０」だ。毎日調査と同じになった。３２０というのは、衆院の３分の２ラインだ。これを超えると、法案の衆院再可決が可能になる。麻生首相はこの３分の２条件を巧みに使って、大型予算４本を仕上げた。民主党が３２０を超えれば、社民党や国民新党などとの連立も必要なくなる。参院で単独では過半数に達していないから、総選挙でたとえ過半数を得たとしても、社民党などとの連立が必要になるとみられてきた。そのほうが国会運営が楽になる。

　だが、衆院で３分の２を取ったら、参院で否決されようとも法案はすべて通る。民主党としても、ややこしい「土井たか子型」社民党に配慮しなくていいことになる。１９５５年体制真っ盛りの時代に政治記者として永田町を走り回っていた世代には、３２０はおろか３００も、まったく現実味が出てこない。総選挙予測を聞かれると、こう答えることにしていた。

　「自民、民主以外が取るのは５０－６０ぐらい。したがって、自民、民主で４２０を争う構図と見れば、わかりやすくなる。拮抗したら２１０－２１０だ。一方が１０多く取れば、もう一方は１０少なくなる・・・。この計算でいけば、２１０－２１０からスタートして、２２０－２００、２３０－１９０、２４０－１８０・・・とやっていって、３００－１２０、３１０－１１０、３２０－１００となる。自民党は３分の１になってしまうのか」と。

　霞が関からタクシーに乗ったら、運転手さんがやたらといろいろなことを気にしている。「この先が民主党本部ですよね。貸しビルですね。政権取ったら、どうなるのかなあ。この自民党本部は、たしか国有地でしたよねえ。このでかいビルを維持できるのかなあ。民主党と交換する・・なんてことはないですね」と。政党交付金は１月１日現在で算定され、年に４回に分けて支払われる。だから、自民激減となると、来年１月１日現在の交付額はがたっと減る。自民党が政変を仕掛けるとすれば、年内にやらないと意味がない。そんなことも考えた。（つづく）