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2009-07-23 10:06
政治家の世代交代に期待する選挙後の政党再編
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
猪口邦子・片山さつき・佐藤ゆかりの3氏が外国特派員クラブ(FCCJ)のプロフェッショナル・ランチョンに再登場した。前回は2005年10月13日。その間ほぼ4年経っている訳だ。押しも押されもせぬ「小泉チルドレン」の筆頭御三家ともいうべき面々だけに、昨今の政治情勢に対してのコメントも、と期待もしたが、さすがこのクラスの知性をお持ちの政治家ともなると、そんな吹けば飛ぶような話題には目もくれず、もっぱら抱負経綸に終始したのは、当然とはいえ、久しぶりに政治家らしい政治家を見た思いだった。
内容について触れる前にこんなことをいうと大変失礼だが、彼女たちの英語力には舌を巻いた。場所がFCCJだということで、最初の各20分ほどのスピーチも、その後の質疑応答も全て英語で行われた。佐藤ゆかりさんは別格としても、後お二方も伝えたい内容を、実に正確にコミュニケートされていたように思う。国際化の声が喧しいが、これから日本を代表していただく方々に、これほどの対話能力がおありになる、というのは心強い限りだ。前世紀の遺物や、脂ぎったギョーカイ代表みたいな面々の少なくない自民党に、こうした新しい流れを導入した、というのは(後継指名でミソをつけたとはいえ)、小泉さんの正の遺産であることに疑いはない。
お三方の言い分をいちいち紹介していたのでは日が暮れるから、内容が一番濃かった(と筆者が印象を受けた)佐藤氏の意見と、質疑応答における回答を中心に要点をまとめると、彼女たちの立場は、「保守主義(conservatism)」と「小さな政府」を組み合わせたスタンスであり、この点において民主党とははっきり一線を画するという。マニフェストばやりだが、選挙を目前にして全ての問題点について立場を明確にする、というのは非現実的であり、主要な政治課題についてのビジョンを示せば良いのではないか、という。例えば人口・高齢化・年金というのはその最たるものであり、選挙はそれで戦う、というのが現実的だろうという。自民党の抱える体質的な問題の存在は否定しないが、世代交代を通じての自浄能力に期待している。
小泉チルドレンの去就については、神奈川9区の山内康一氏などのように、自民党の現状について異議申し立てという意味を込めて離党する、という苦渋の選択をした人々もいれば、お三方のように踏みとどまって変えてみせるという立場を採る方々もいる。どちらも、自らの知性と信念に基づいて選挙民に対してコミュニケートあるいはアッピールしようという姿勢に変わりはない。親分子分だ、派閥だ領袖だ、浪花節だ、というスタイルとは明らかに異なった世代の自民党政治家が現れている。労働組合べったりで昨今問題になっているヤミ専従の巣窟のような出身母体の代議士に代表されるような体質を抱える民主党についても、似たような世代交代が期待できるとすれば、選挙後の政党再編に少しは期待も持てようというものだ。
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