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2009-07-01 22:23
(連載)世界を覆う手詰まり感(1)
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
手詰まり感が深い。解決すべき方向は見えているのに、さっぱりそこに行き着く道筋が見えてこないという状況が、世界に充満しているということだ。颯爽と登場したオバマ大統領も、中東情勢、核拡散、国内経済問題、いづれをとっても快刀乱麻という訳にはゆかないようだ。もちろん問題のどれ一つをとっても、そんな目の覚めるような解決策がある筈もないのだから、ここはじっと我慢の子だということかもしれない。
プーチン氏は、じっと巨大な穴ごもりをきめこんで、敵失をひたすら待つという姿勢のようだし、逆に中国は、いづれ崩壊は時間の問題だと見られていた経済発展が、存外長持ちしていることもあって、国内格差の破壊的表面化を回避することに専念できているようだ。EUも、自分の腹の痛まない限りは、国際舞台で格好の良い台詞まわしの機会さえあれば、すかさず一言あるという伝統的なスタイルを固持している。
元はといえば、民主主義と市場経済という、厄介な、しかしそれしかない選択肢を(程度の差こそあれ)受け入れたプレーヤーたちの集まりが、世界の主流なのだから、南北格差さえ適度にコントロールできていれば、まあそこそこに安泰だ、という共通認識があるのだろう。だから怖いのは市場の破局と言うダモクレスの剣だけで、それをどう馴致するか、ということになるのだろう。
それが出来れば、よその国がより痛みを感じるようなやり方で折り合いを付けることを厭わない。だから、洗練されたレトリックを駆使した主張・論法の多用によってその場を凌ぐ、という事態が続いている。手詰まり感が出るのも、当然と言えば当然だろう。フランシス・フクヤマではないけれど、本当にこれが人類にとっての究極の到達点であるのならば、ことは手詰まり感といかに折り合いを付けるか、逆に言うと極端な原理主義の台頭をいかに制御し、穏やかな日々を暮らすか、ということにならざるを得まい。(つづく)
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(連載)世界を覆う手詰まり感(1)
入山 映 2009-07-01 22:23
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入山 映 2009-07-02 21:46
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