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2009-06-03 19:21
(連載)中国の「緑色革命」と東アジアの経済統合(1)
進藤 榮一
筑波大学大学院名誉教授
北京の空が青い。1年振りで訪れた首都の変貌に驚く。スモッグがない。昨年の五輪までの見慣れた中心街区の風景とは違う。町並みの整備が格段に進んでいる。世界最大の空港は、いまや乗降客が年間100万人を超す。シンガポール、バンコクはもちろん、シカゴやロンドンをしのぎ、世界のハブ空港と化している。好むと好まざるとにかかわらず私たちは、パクス・シニカ(中華による平和)到来の現実を目前にしているのかもしれない。
その中国がいま「緑色革命」で賑わっている。環境関連、資源再生・再利用経済が、産業セクターの壁を超えて、経済の主流になり始めているかのようだ。いたるところに緑色の2文字が目につく。いわく「緑色都市」「緑色産業」「緑色経営」「緑色道路」「緑色公司」・・。中国政府は、世界金融危機に対応して、新しいモノつくり経済と新産業の創設とによる雇用増大と内需拡大を、政策の最重点課題にすえ、世界経済を牽引し始めている。トム・フリードマン(ピューリッツァー賞記者)のいう「グリーン革命」を、中国が先導しているかのようだ。生産工程で知識基盤型付加価値を付与することによって、環境負荷を軽減して、製品の高付加価値化による差別化と競争力優位をはかる、新しい産業と「ものつくり」のかたちだ。
その「緑色産業」を統括する中国資源再生協会と日本新技術促進機構との提携推進のための5日間の旅である。さる2月、協会傘下企業代表団が、首都圏の資源再生工場視察に来日した。それに続いて今回は、中国側招致による交換事業である。
都心ホテルそばの協会で、事業計画の共同討議をすませた後、2日目の早朝、北京西駅発の高速電車で2時間、河北省省都・石家荘市に向かう。そこから車で2時間弱、近郊中核都市、辛集市に着く。首都を離れるにつれ、古い工場群が姿を現し、スモッグで覆われた灰色の空が広がり始める。河北省の人口7000万、石家荘市800万。隣国の底知れぬ巨大さを実感する。(つづく)
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(連載)中国の「緑色革命」と東アジアの経済統合(1)
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進藤 榮一 2009-06-04 14:39
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