西バージニア大学の金(Hong Nack Kim)氏は、韓国研究国際ジャーナル(International Journal of Korean Studies)所載のペーパーの中で、韓国政治の特徴として以下の3点を挙げる。まず第1が、地域主義(regionalism)だが、このもの凄さについては、いろいろなところで報道されているから、改めて解説も不要だろう。全羅道と慶尚道の対立は、ことに有名だ。第2が派閥主義(factionalism)だという。まあ、こちらの方は、日本でも政党の如何を問わず健在だから、特に韓国特有という訳でもなさそうだが、要はこれまた凄さの違いということだろう。特に血縁の一族の紐帯の強さは、その上の藤原一門や平家の一族も顔負けらしい。面白いのは(というのも不謹慎かもしれないが)、第3に、妥協を潔しとしない態度(disinclination to compromise)にあるという。これは基本的には民主主義と真っ向から相反する態度であるのみならず、政敵関係が熾烈化するのは多言を要しないだろう。これが先の2つと結合すると、意見や立場の違いがそれに留まらず、善悪、怨念に転化する、というのも解り易い。