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2009-05-29 10:13
(連載)小沢一郎退場と日本の再生(2)
田村 秀男
ジャーナリスト
依然としてはっきりしているのは、日本は対米依存の政経モデルを抜本的に改造しなければならないことで、そのためにこそ官僚主導体制を変革しなければならないということだ。官僚体制とは、しょせん、米国にすべての戦略思考をゆだね、それを解釈、翻訳してすり合わせるエリート官僚の仕事のことである。この対米依存モデルは実は、1990年代のバブル崩壊で破綻していたのだが、日本は自力で再建できず、結局米国の後援による「小泉・竹中・宮内改革」に終始、米国の利益になる金融部分(郵政)だけが食われておしまいになり、肝心の官僚主導には手が付けられなかった。
一般会計と特別会計の合計で日本のGDPの半分を占める、というこの異常な官僚社会主義体制が、今金融危機でさらに焼け太る。志あるエリート官僚もいるはずだが、この流れを進めるのは、こずるい官僚よりも、むしろ大衆政治家たちである。この日本を、オバマ政権の米国はどうみるだろうか。軍事で強大化する中国への防波堤として日本を位置づけ直して、中国を牽制しつつ、衰退する日本の金融パワーの代替先として中国を利用して行くのが、米国の偽らざる戦略というものだろう。
金融日本の代用国はすでにある。日本の利用価値はボナパルティズム式思考から生まれる。米国はあくまでも覇権国であり、冷徹なのは当然であり、立派と言うしかない。日本が政治家主導に政策決定を変えるという方向は確かに正しい。しかし、今の日本が歴史的に転換点に立っており、戦後体制としての日米同盟関係を変える以外に選択肢はない、ということに気づかないと、空回りした揚げ句、疲労死するか、小沢のように醜聞に足をとられるだろう。
政治家なら、強いハート、強靭な胃袋、そして卓越した頭脳による時代への構想力を大衆にぶつける能力がなければならない。具体的には憲法改正、日米安保の集団自衛体制化、円のドル依存脱却と円経済圏形成のための大規模プロジェクト、そして国家再生に向けた財政金融政策の一体化である。これらのために、政治主導で優秀な官僚を動員するのは当然だ。小沢の退場を、日本再生の機会にする強力な意志が民主党になければ、民主党は分裂、雲散霧消するだろう。自民党は相変わらず官僚社会主義に安住しつづけるのだろう。(おわり)
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(連載)小沢一郎退場と日本の再生(1)
田村 秀男 2009-05-28 11:49
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田村 秀男 2009-05-29 10:13
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