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2009-03-15 23:17
世界平和研究所の「アジア共通通貨」提言をおおむね支持する
近藤 健彦
明星大学教授
世界平和研究所が、3月に入って「2030年を見据えた国際経済・金融体制の展望」と題する興味ある緊急提言をだした。現在の世界金融危機をふまえ、アジアは何をすべきかの示唆に富む。ジャン・モネの欧州統合だって第二次大戦中にすでにアルジェで議論されていたのである。
内容はアジア共通通貨導入提案である。3期にわけて、ロードマップを記述している。2010年代に「域内における協調メカニズムを構築」し、2020年代に「アジア共通通貨単位(ACU)を導入」し、2030年代以降「アジア共通通貨を導入する」としている。いわば1970年の欧州「ウェルナー報告」のアジア版である。
提言の個別内容については、財務省の広報誌『ファイナンス』昨年1月号掲載の拙稿「21世紀のアジア通貨単位(ACU)構想の進展に向けて」と大きく違っているところもあるし、おそらく今後の歴史はこの提言の通りには進まないだろう。にもかかわらず、この提言は、次の諸点で大きく前進しており、私としては評価したい。
第1に、全体がロングランの視野から書かれ、体系的である。第2にACUを前面に出している。「もしアジアで通貨統合を考えるとしたら、ACU構想しかない」という1980年代後半以降の大方の識者のコンセンサスをふまえている。第3に、学者の間でいまだに区々である通貨単位の名称を「ACU」で統一している。第4に人民元をACU構成通貨にいれている。この最後の点は、「上昇する元」と「これ以上シェア・アップの望めないドル」を考えたら、当たり前のことなのだが、これまで必ずしもコンセンサスになっていなかった。この分野でも「ローマは一日にして成らず」である。
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