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2009-02-16 10:40
中国の少数民族政策や人権問題にどう対応すべきか
舛島 貞
大学准教授
「東アジア共同体」に対して何か理念や価値を込められるとすれば、そこには「自由」や「民主」が含まれるであろうか。少なくとも日本政府としては、そのような価値を強調してきたように思われるが、それこそが中国との対立点ともなる可能性を有する問題でもあろう。
2009年はチベット蜂起・動乱50周年にあたり、少数民族の活動家たちは戦々恐々となっている。3月が近付けば一層そうした雰囲気は強まるだろう。そうした中で、日本に留学していて中国に帰国した際に国家機密漏えい罪などで身柄を拘束されたウイグル人の学生が長い刑期を終えて釈放された、との報道が最近あった。彼には北京で仕事が与えられるというが、彼の配偶者は先般日本国籍を取得した。日本側としては、その留学生が勉学を継続し、家族とともに暮らせるように、訪日を求めるのだろうが、中国側がパスポートを発行することはおそらくないだろう。パスポートなく訪日する方法は相当に限定的になる。
研究者の世界でも、少数民族出身の研究者たちは厳しい状況に置かれている。著名になればなるほどその危険は強まる。中国の日本研究者の中には、少数民族出身者が少なくない。
中国とフランスの関係においてそうであるように、少数民族問題や人権問題は国家間関係にまで直ちに発展する敏感な問題である。中国の少数民族問題や人権問題にどのようなスタンスをとるのか、明確な回答を求められたときどのように対応するのか、日本として今年はその腹積もりを決めておいたほうがいいのかもしれない。
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