ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2008-09-12 16:32
日本人男性の意識改革こそ急務
中山太郎
団体非常勤研究員
最近日本国際問題研究所前客員研究員のロバート・ドゥジャリックさんの「日本は21世紀に取り残されるか?」という話を聞いた。同氏は、日本が取り残される要因として、第一に女性活用の遅れを取り上げておられた。昨年の米国の雑誌『フォーブス』の「世界トップ100人」に取り上げられた女性は、米49名、中近東諸国5名、中国5名で、日本はゼロ。大学教育においても学生に女性のしめる割合は、東大20%、ハバード大47%。著名大学で女性の学長の占める人数は、米ではハーバード、MIT、プリンストンなど多数、日本では御茶ノ水女子大のみ。
日本は女性差別で、二重のをロスをしている。一つは、日本の有能な女性たちが、欧米の企業や国際機関へとられてしまう。国連事務局職員の男女の比率は、他の国が女性49%なのに、日本は60%である。ドゥジャリックさんの話を聞きながら、昔読んだ、山根基世NHK元アナウンサーの随筆にこのような箇所あったことを思い出した。番組取材のため男性のアナウンサー、ディレクターなどと京都の造り酒屋を訪問した。ご主人から話を聞き、ノートにメモを取り始めたとき、女性がお茶を運んできてくれた。その女性がお茶を配ろうとすると、主人は「あ、もういい」というなり、メモを取っている山根さんに向かって、「後はあんたやって。あんた、そのために来てはんのやろ」。
山根さんは、書いている、「私は仕事の打ち合わせのために来ているのです」と正々堂々と胸を張って反論できなかった自分に腹が立つと同時に、普段女性差別に反対し、よい仕事仲間だと思っていた男たちが、何ひとつ言い返さなかったことにも驚いた。今でもこうした日本の男たちの意識は変わっていない。こうした傲慢さ、人を傷つけていることにも気づかぬ無神経さが、無意識に世界に発信され、日本へ有形無形の損害を被らせている。こうした「失言」ひとつで、いかに日本が気前良くODAをばら撒いても、一瞬に帳消しとなる。雑誌『フォーサイト』7月号に、西川恵という毎日新聞の方が、故内田大使(カナダ大使、交流協会台北事務所長)の夫人について書かれておられ、如何に外交官夫人の労苦が大変なもので、かつ人々に知られていないかの趣旨を書いていた。
五旗部真防衛大学校長が、ある講演で吉田茂夫人の吉田雪子さんについて触れ、戦前の日米関係ただならぬ中、その語学力や人脈を生かし、グルー米大使夫妻初め海外の要人たちに、日本への悪感情軽減のため色々なことをされたこと、その努力はワシントンなどの公文書に残されている旨、述べておられたことを思い出した。東京飯倉の外交史料館に行き、吉田茂関係の文献のうち雪子夫人関連のものを閲覧した。雪子夫人は、歌人佐々木信綱に師事し、和歌を詠んでおられ、戦前の雪子夫人の逝去の際、その一部がまとめられ、吉田茂により葬儀の際の引き出物として配布されているが、それを読むと、外交の各場面での、夫人の心情がまざまざと察せられ、心打つものがある。
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
一覧へ戻る
総論稿数:4661本
東アジア共同体評議会