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2008-09-08 11:45
人には2種類ある
近藤健彦
明星大学教授
ジャン・モネの回想録のほぼ最後に出てくる話である。「米国で知り合ったドワイト・モローは、よく『人には2種類ある。何かになろうとする人と、何かをしようとする人だ』と言っていた。非常に多くの人は、有名人になって役割を演じようとしたがる。だが、一般に、行動を創造し、ものごとを動かすのは別の種類の人である。そうした人は、出来事の流れのなかで、行動の場所とタイミングをまず探す。最も見える場所や、最も予想されるタイミングには、好機はない。それを捕えようと思う人は、舞台の前面に出るのを放棄しなければならない」(仏語原文610ページ)と。
モネの科白はふるっている。「私の友人ドワイト・モローは、私をこの第2種に分類した。だが私は『何になる』はもとより、『何かをする』などとも、言ったことはない」と。
日本では現状、われもわれもと中途半端に「何かになりたい人」ばかりで、裏方で企画立案するエリートがいなくなってしまった。福田首相の辞任を受けて、後継者選びが華やかである。次の衆院選を控えみな人気を求めたがる。かつてアントワヌ・ピネー(仏の戦後の首相・蔵相、「ピネー債」で歴史に残る)が言ったことを思い出す。「政治家は人気を求めたがる。しかし人気は、物乞いして得るものではなく、その人の政策の成功とともに備わってくるものである。そして人気にいたる道は、はじめは不人気なものである」と。
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