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2008-07-30 19:17
竹島問題で得をするのは誰か
鈴木馨祐
衆議院議員
竹島問題が日韓の間でにわかに懸案事項となっている。そして両国の国内の政治事情もあってエスカレートしているように見える。確かに竹島問題は歴史的経緯に照らしても日本の主張に正当性がある可能性が高く、領土問題については国家主権の問題として断固たる姿勢で臨むべき問題だ。しかし、率直に言って、なぜ今このタイミングでこの問題に焦点を当てる必要があったのか、ということについては疑問が残る。
核問題、拉致問題に代表される北朝鮮への対応、さらには北朝鮮問題にも大きな影響力を持ち、さらに最近急速な軍拡路線を突き進み、政治や政治においても異なる価値観のもとでいろいろな摩擦を国際社会との間でもたらしている中国への対応。このような日本の安全保障や今後の国力、国益に大きく影響しかねない懸案が山積している時期に、価値観を日本とほぼ同じにしている東アジアの数少ないパートナーとなりうる国家である韓国との間で領土問題に敢えて焦点を当てるということが、日本の国益上どのような戦略的判断で行われたのか、正直理解に苦しむ。特にもう一つの価値観が近い国家である台湾においては、親米とはいえ日本へのスタンスには若干の疑問が残る政権が登場した事態となっているのである。
韓国においては李明博政権発足以降、対日政策もこれまでに比べれば相当程度正常化してきたところであった。特に李大統領は日本との関係が非常にナイーブな大統領である。なぜ日本がわざわざ大統領の支持率が低下してきているこの時期に、その足を引っ張るようなことをしなくてはならないのか。日本の国益にかかわる戦略的判断が必要なこのような大きな問題が、国のトップたる首相や外交トップの外相を抜きに進められることは考えにくいし、あってはならないことである。とすれば今このタイミングで竹島問題に焦点を当てるべしとの判断を、総理がしたということであろう。
戦略とは、優先順位やタイミングの設定の仕方に他ならない。今の状況で日韓関係がこじれることで得をするのは一体誰なのか。少なくとも日本ではなさそうである。福田総理は一体どのような意図で今回の決断を下したのであろうか。国会休会中ゆえ少し先になるかもしれないが、国会や党の会議の場で追求していかねばならない問題だろう。
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