氏のこの強い発想の根源はビジネスマンである背景があるのだと考えています。事業者にとって株主の権限を論じる際、概ね数や%の理論で収れんするからです。ビジネスや法律、あるいは選挙を含む物事の判断の過程で数の理論は今でも健在であり、49のグループは泣かねばならないのです。ビジネスでは泣かされたグループは諦めて違うチャレンジをすればよいという逃げ道があります。地方選挙で自分が支持しない人が知事なり首長になれば他県や他の州に引っ越すオプションもあります。ところが国家の場合には他国への移民しか手段はなく、これは容易ではないのです。たとえば香港や台湾問題をみると富裕層にはどこか他の国に移住するという選択肢があり、事実、そのような政治問題が顕在化するたびに移民による出国ラッシュが起きました。ただ、大多数の庶民はそんなことは到底できず国家の変化に耐え忍ぶしかないのです。トランプ氏の施策は私には一歩間違えれば権威主義になるのではないかという危惧があります。Great America AgainというGreatは何を指すのかであります。50年代や60年代の強かった時代の白人至上主義的なイメージを持つならこれは多くのその後の移民層、例えばヒスパニックからアジア系、インド系やアフリカ系までを人たちの権利には光が当たらないことになります。