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2022-01-15 22:03
「情報収集に全力」というお役所言葉
荒木 和博
拓殖大学海外事情研究所教授
「情報収集に全力」。北朝鮮がミサイルを発射するたびに出てくる言葉がこれで、今回も総理をはじめとして皆さん連発していました。多少意地の悪いツッコミを入れれば、「じゃあ、これまでいい加減に情報収集をやっていたのか」と言いたくなります。重要なことは、収集してどうするのか、ということです。この調子だとミサイルがどこか領土の上に着弾したり、漁をしていた漁船が被害を受けても「情報の収集に全力」の次がないままに終わるのではないかと。
拉致被害者の情報にしても同様ですが、この「情報の収集に全力」という言葉が出てくる裏には役所のシステムの問題があります。役人にとって上から聞かれて「知りませんでした」というのはあってはならないことであり、「とりあえず知っておくこと」は何よりも大事です。逆に言えばそこまで首尾良くできれば、それで仕事は終わり、にもできます。ミサイルについてもどうせ何もしないのですから。個別にどんなミサイルがどこから何発、いつ発射されてどうなったかという技術的な問題は防衛省で十分やっているのでしょうから、わざわざ総理が「情報収集に全力」と言う必要もないともいえます。それより政府のトップとしてやるべきことは一体北朝鮮がどういう意図でミサイルを撃っており、日本政府としてどういう対処をするのかということではないでしょうか。
常識的に考えれば分かりますが、あの貧乏な国が経済制裁を受けている上にコロナ対策のために自ら国境を封鎖した状態でミサイルを発射すれば、一般人民の生活が困窮するどころか軍の維持すらままならなくなるのは当然です。もちろん販売目的もあるのでしょうが、ミサイルにカネと人をつぎ込むことで、一般部隊は武器弾薬どころか食糧にも事欠く状態です。
発想の転換で、総理も「どんどん撃ったらどうでしょう。制裁はさらに続くし誰も援助できなくなります。もし北朝鮮国内で反対の方がおられたらぜひ日本政府にご連絡下さい。いずれにいたしましても(これも良く出てくるお役所言葉)問題解決にはこの際在庫一掃してもらった方が良いのではないでしょうか」とか、岸田ノートを見ながら言ってみることを強くお勧めする次第です。
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