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2021-09-15 19:22
中国の対外姿勢について
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
13日の報道では、中国の王外交部長がカンボジアを訪問し、中国の支援で建設された国立の競技場の引き渡し式に出席した。また、王はカンボジアへ2億7千万ドルの無償資金を出す旨述べたとある。これは、既視感のある風景だ。そう日本は、ずっと長い間、カンボジアにとり最大の開発援助国であった。世界全体からの開発援助の18%以上の時もあったのだ。日本では何かと規制が多い自衛隊の海外派遣においても、ペルシャ湾派遣に続き同国に派遣してもいる。同国の有名なアンコール遺跡救済のためには旧宗主国のフランスとともに資金協力など多大な努力もしている。同国もこれに感謝し、日本の支援で建設されたメコン川にかかる橋と日本の国旗が同国の紙幣に描かれている。
日米、UEと並んで、中国外交では何かと気を遣わねばならない対ASEAN外交では、カンボジアは、中国の最大の支持国となっている。年配の方は覚えていると思うが、カンボジアとノロドム・シハヌークとは切っても切り離せない。大国に挟まれた、混乱した歴史を持つカンボジアで、その歴史を代表するかのような生涯であった。彼は王、大統領、首相など多数の国家地位になったことでも有名だ。確かギネス登録されていたと思う。
最大の転換時期は、ベトナム戦争の最中ロンノル首相らのクーデターでの失脚だ。歴史は、米が親米派の政府つくりため仕掛けたものだと言われている。その時、手を差し伸べたのが、中国であった。中国の支援するクメールルージュといやいやながら手を組まされ、同組織の支持増強に尽くさねばならなかった。米の南ベトナム撤退後、王政と共産主義社会を目指す両者は激突、シハヌークは王宮に幽閉されたばかりか、地方へ追放された子や孫が虐殺されたと言われている。
国際情勢は千変万化する。米を追い出し勢いに乗るベトナムはカンボジアに侵攻した。首都プノンペンも危うい事態となり、政府は、国際的にも著名なシアヌークの起用を決めた。国連においてベトナムの不当を訴える役目が来たのだ。そして、そのニューヨークで彼は周りの監視の目を盗み、中国へ再びの亡命に成功した。話を端折ると、ベトナムが同国から撤退した後、13年にわたる中国での亡命に別れを告げ、喚起の声で迎える国帰りをしたのだ。じっと長い間面倒を見ることをいとわない中国外交のすごさを垣間見る思いがする。
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