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2021-07-23 19:59
日本の国際場裏での情報戦略
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
今の世界は、情報の巧みな操作、欺罔に満ちた世界だ。こうした中、大戦後80年の平和ボケで、疎くなっている我が国はどう対処していくべきか、考えてみたい。7月23~23日付の姉妹e-論壇『百花斉放』の篠田英朗氏の「危機管理欠ける五輪委、国際社会への貢献にこだわれ」と7月22~23日付『議論百出』の松本修氏の「現代中国の盲点三論:最近の『中国脅威論』の虚実」は示唆に富み色々考えさせられる。
篠田氏は言う「大会組織委員会の当事者意識があまりに薄弱だ。委員会は、倫理的立場をはっきりと表明し、糾弾すべきことを糾弾した上で五輪精神に傷をつけて多くの人々の期待を壊したことを本人とともに謝罪すべき」我が国は、時に国際大会での常識を無視しがちだ。かって、天下の文芸春秋が、同じユダヤ人批判で雑誌「マルコポーロ」を廃刊させられたことなど、今やきれいに忘れ去っている。松本市の毎回の分析はメモを取りながら精読しているが、公開情報を主に、中国分析を行うもので、その忍耐と才能にいつも敬意を表している。松本氏は、「脅威」を論じる場合には、「意図」と「能力」の有機的な分析が必要と述べておられる。現状の日本での論調は「脅威のインフレーション」を巻き起こすだけだ。「誰も皆、情報を重要と言うが、だれも情報を重視していない」と喝破しておられる。
少し、古い情報だが、知人の英国人学者が、日本へのアドバイスとして述べた話をご参考までに紹介する。英国は、共産党国家のソ連と長い年月対峙してきた。教訓として、得られる情報は常に断片的だ。そして、人間は時として間違いを犯すということだ。英と米、豪などとの情報交換網は、長い年月をかけ構築されたものだ。日本の最近の報道で、すぐにでも英のそうした情報網に参加できそうなことを述べるものがあるが、表向きには、メンバーとなっても、真に仲間と認められるには、時間が必要だ。英とソ連のエリートが、二重スパイだった例を忘れてはならない。それと、共産主義社会は、時間をかけ、いわゆる「眠ったスパイ」を持つのが得意である。
日中関係においても、東京工業大学の前身の高専の出身の孫平化(注:中日友好協会会長など歴任)が、戦後の日中関係で大変な重要な橋渡し役を務めたこともある。今の日本の言論社会で、反中国の言論を吐く中国人の評論家が、ふたを開けたら「眠ったスパイ」だったということも大いにありうるのだ。
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