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2021-07-06 08:25
韓国のUNCTAD での地位変更
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
貿易などを通じて開発途上国を発展・開発させるための目的で創設されている国連の常設機関であるUNCTADの韓国の地位が先進国のグループBに変更されたと報道されている。グループは北米、欧州そして、非白人国では唯一日本がメンバーであった。最近の日本国内では、韓国は中国寄りになりつつあり、米との関係も悪い、文大統領は左の陣営に属し、日米へ反抗しているなどと騒がれている。今の国際情勢は、米中対立、新冷戦、デカプリング、特に東アジア情勢は厳しいものがる。北朝鮮の核問題の深刻化、尖閣はじめ東シナ海、南シナ海、台湾問題など軍事上も安全保障上も危うい状態だ。日本にとり、それこそ国の命運をかけた大問題といえよう。
最近の中国の強権的な、覇権主義行動への対処に「法の支配を基本的なルールとした国際秩序」の確立が叫ばれている。これには共通の価値観を持つ米国、欧州諸国との連携は欠かせないが、隣国の韓国との協力も極めて重要だ。日本の一部では、韓国はいかに国際場裏で異質な存在かなど言われるが、ある米国の知人に尋ねたところ、彼は笑いながら、韓国は国際場裏での自国の存在を際立たせることに日本より熱心だし、うまい。たとえば、宗教についていえば、日本人は正月には神社に初もうでし、クリスマスには教会へ行き、クリスマスケーキを食べるし、最近では西欧の古い習俗であるケルト人のハロウィンも定着しだした。それこそ『八百万の神』で、多神教というか自然崇拝など一神教の国の人たちから見れば無茶苦茶な国だ。もちろん、日本に長く住む自分は、異なる宗教にも比較的に寛容であるなど利点も知っているが、今の一神教が跋扈する世界の中では異質だ。韓国は、仏教徒より、キリスト教徒の数が多い。文大統領も、バイデン米大統領も同じカトリック教徒だ。国際場裏では韓国の方が国際性があると韓国の人たちが考えていてもおかしくない。彼らから見ると、日本人はメッセージがなく素朴で感覚志向すぎる存在なのだと述べる。
ここら辺のところは、本欄鋭い発言をされておられる荒木和博氏に聞いてみたいところだが、中国やその他第3世界であった韓国の人たちは、皆親日的で親切だった。中国に長くいると、中国料理にたまらなく飽きてくることがある。今はそうでもないが、本格的な日本料理店は、材料を空輸するなどでバカ高く、安月給のお呼びではないし、中国人の経営の安い日本料理店は腐る寸前の刺身が出てきたり無茶苦茶であった。韓国料理店は唯一の救いだった。味付けが違うし、野菜が豊富に出た。海外にいると、一部の日本人の韓国嫌い(中国嫌いにも通じるが)のけたたましいアンチ韓国の風潮には疑問を持つ。今や米国の世界をリードする力は弱まりつつあり、中国を知るだけに、一部の人たちの言うようにこれからパックス・シニカ時代到来とは思わないまでも、世界の支配構造は大きな変革の時期に来ていることは確かでもある。こうした中で日本が生き抜くには、一国のみでは無理だ。しかし、同じ民主主義の国同士と言っても、欧米諸国とは微妙な差異がある。宗教一つとっても、日本は彼らからすると極めて異質だろう。そうした潜在的な考えがどこかで出てくるのだ。
安倍前総理は、トニー・アボット豪総理と昵懇であった。こうした、安倍総理の外交的な力について、もう少し褒めてもよいのではないかと思う。父上も外相時代、きわめて精力的に世界を動き、日本の活躍範囲の拡大に貢献したが、それを上回るものがある。アボット豪総理は、その前の労働党政権時代の捕鯨問題などでぎくしゃくした日豪関係を修復し、日本を「アジアにおける最良の友」と呼んだ。日本はこの時代に、潜水艦の売り込みにほとんど成功していた。ところが、同じ自由党内での政局でアボットが敗れ退陣し、ターンブル(現在は、モリソン)に代替わりすると、日本からの購入は破棄されてしまった。ASEANのある知人によると、フランスのなりふり構わぬタフな売り込みもあるが、豪州人にある潜在的な非白人国への差別感情もあるのだとのことだ。
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