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2021-05-11 20:30
韓国の経済政策について
真田 幸光
大学教員
私は、「国家政策の中で、政府は、国民に成長の為の夢を持たせる政策を示さなくてはならない。」と考えています。もちろん、「机上の空論」を絵空言のように示す、「夢」はいけません。きちんと、実現、成功の可能性、期待が持てる、感じられる、「夢」を示さなくてはなりません。そうした意味では、今、日本政府から日本国民に示される、「夢のメッセージ」は弱いかもしれません。否、日本のみならず、バイデン政権もジョンソン政権も弱いかもしれません。むしろ、国家の基盤を背景として計画経済の下で示される、「中国本土の経済政策」は、中国人民に、「夢と希望と自信と誇り」を感じさせ始めているとも私は見ています。それが良いことか、悪いことかの議論はここでは致しませんが。
さて、こうした中、「夢」とまではいきませんが、「計画経済的色彩を持つ」韓国の経済政策の中で、韓国政府は、経済の成長エンジン拡充と貿易構造革新に向けた戦略を発表しました。貿易金融の提供や有望な輸出品の育成に資金を投じ、韓国の年間輸出額を現在の5,000億米ドル台から2025年に7,000億米ドルへ引き上げるとの目標を提示したのであります。因みに、この水準に来ますと、今の日本と遜色のない水準になります。そして、韓国の貿易構造上、輸出がこの水準になれば、輸入も拡大する可能性大であり、輸出のみならず、貿易規模でも日本と同水準になる可能性があります。韓国国民は更に自信を持ち、夢が感じられる水準です。そして、具体的には、韓国政府はまず、有望な輸出品の開発などに2025年までに約5兆ウォンを投じるとしています。
一例として、バイオヘルス分野では革新的な新薬や医療機器の開発に1兆6,000億ウォンを充てる計画であり、研究開発(R&D)や環境規定、認証などの制度を企業の負担を減らす方向で見直す一方、民間ファンドの設立などにより有望企業に対する投資余力も引き上げると明示しています。また、コンテンツ、デジタルサービス、医療・ヘルスケア、教育とテクノロジーを組み合わせたエドテック、金融とテクノロジーを融合したフィンテック、エンジニアリング――という潜在力の高い6分野の「K(韓国式)サービス」を中心に、2025年までに20兆ウォン以上の貿易金融を提供する計画も明示しました。
コンテンツ、フィンテックに投資するファンドをそれぞれ設立し、有望サービスに特化した投資も拡大する計画であり、具体性を伴う、国民に夢と希望と自信を持たせる政策が示されているように感じます。さて、具体化に向けた動きをこれからどのように取っていくのか、注目したいと思います。そして、日本も頑張らなくてはいけないと思います。
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