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2021-02-04 21:23
米国に大恐慌の影
大井 幸子
国際金融アナリスト
コロナ、コロナで1年以上も経ちました。状況はどんどん悪い方へ向かっているように感じます。このところの緊急事態宣言で、お店は早く閉まってしまうし、あまり品物を置かなくなったのか、品薄になっているようにも思います。日本橋の近所の飲食店も閉店が相次ぎ、消費需要の減退を見込んでか、店も品数や仕入れの量を減らしているのでしょう。
先日、わが先輩のJames Rickards最新の著 ”The New Great Depression: Winners and Losers in a Post-Pandemic World”を読み始めました。やはり、新たな大恐慌が近付いているようです。米国では、感染拡大の前から景気拡大が終わりに近づいていました。そこへコロナショックがやってきたので、景気はドスンと急激に冷え込み、第1波とロックダウンで、2020年3月から6月にかけて、7千万人近い失業者が出ました。この時の失業者の多くは、飲食店、バーで働く人たちやブルーカラーでした。しかし、第2波(2020年10月から12月)で失職した人の多くは、比較的賃金の高い弁護士、会計士、看護師、銀行や不動産ブローカーなど金融サービス業、一般企業の中間管理職、州や市の公務員などです。この層の人たちは、ジムや劇場、レストランに通い、ドライクリーニングのサービスを享受していましが、そうした消費は確実に先細るでしょう。そして、年明けからの第3波で、さらなる失業が増えると見込まれます。
米国では、特に中小企業の破綻が懸念されています。中小企業は、米GDPの45%を創出し、全雇用の50%を支えています。このままでは、最悪の場合、勤労者の生活が成り立たなくなります。さらに悪いことに、今、ワクチンの供給や接種時期が遅れています。これから春先にかけて、先行き不安感から、農業から工業まであらゆる生産者は生産を縮小するとみられます。そうなると、徐々に品不足になり、物価が上昇し、失業の増大で困窮者が増え、社会不安が高まります。当然、政府の政策や政治家への怒りも高まります。米国民主党は、コロナ禍で不正疑惑の残る選挙を行い、政権についてからは失業手当や給付金をばら撒き、社会保障を手厚くする代償として、銃規制などで国民生活の規制を強めるでしょう。しかも、トランプに賛同した人たちのSNSアカウントをパージするなど、陰湿な言論統制も強めるでしょう。
普通のアメリカ市民は中小の町に暮らし、真面目に働いて税金を払う、家族を大切にする、時々教会に行って地域社会に貢献する、いたって真っ当な生活をしています。彼らは、現民主党政権やメディアが行き過ぎていると考えています。現政権が銃規制と共に思想統制に出ると、彼らの多くは、憲法上の権利を侵害されたと現政権に反旗を掲げ、行動に出ると予想されます。以上述べた米国の動向は、少し形を変えて日本にも波及してくるでしょう。日本人がどのくらい反骨精神があるのか、不況に耐えていけるのか、あらゆる国難に備える時かもしれません。
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