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2021-01-06 11:40
高齢者100兆円、子育て10兆円という予算バランス
鈴木 馨祐
前外務副大臣
先月14日の自民党の人生100年時代戦略本部の会合において、「全世代型社会保障改革の方針」が了承されました。論点としては、①後期高齢者の自己負担割合、②待機児童の解消、の二点が中心的なものとなります。すなわち、いわゆる二割負担の問題と児童手当の特例給付の問題です。前回の会議において、他の多くの議員同様、私の考えを主張させていただいた上で、菅総理と自民・公明両党で政治決着した案件なので、もはや反対というわけにはいきませんが、私からは会議において以下の点を申し上げさせていただきました。
「今回、(現役世代の3割負担に対し、)75歳以上の方については、年収200万円以上の方に限って2割負担をいただく(他の方は1割負担)という線引きとなったが、政府はこれでいつまでもつと考えているのか?おそらく、今の現役世代が75歳以上となる20年後、30年後には、「高所得者のみ2割負担」どころか、全員を3割負担としなければ、今のサービス水準の国民皆保険は維持できないということになる可能性が高い、ということは皆が判っていることなのではないか。政治は高齢の方々への福祉・社会保障・公的医療サービスを大事にすべきなのはもちろんだが、高齢者とは今の高齢者の方々だけではない。将来の高齢者のことも政権与党は考えるべきではないのか。将来の高齢者の給付水準と負担までも考えて決定をせねば、持続可能な国民皆保険制度とはならないし言えないのではないか。」
「全世代型社会保障とは、前回の衆議院選挙で消費税の使途の変更を掲げた我が党にとっては、国民との約束である。その時の党内の議論でもそうだったし、前回の政府の全世代型社会保障検討会議の議事録を読んだところ、そこの委員の方々の議論もそうだったが、今の社会保障費の給付の水準が、高齢者向けは100兆円近く、子ども子育て関係は10兆円にも届かないという、他の国と比べたときにあまりにも極端なバランスの悪さがあって、そのバランスを見直すべきだというのが、基本的な共通認識だったはずだ(その意味で児童手当を削って待機児童対策に充てるということが誤っているし、規模感を言えば、今回児童手当の見直しで捻出できる予算は診療報酬総額の1000分の1以下)。今後公的なサービスに限って言えば、その規模を大きく増やして負担をこれ以上増やすのは非現実的な中で、高齢者医療も子ども子育ても増やすということが出来ない中にあって、そのバランスをどう見直すのか、その根本的な議論を我が党としてすべきである。少なくとも次の選挙までの間に一定の方向性が出せるような議論を党内で行うことを政調会長にはお願いしたい。」
日本の将来に責任を負う責任政党として、こうした点についての真剣な議論を行ったうえで、国民の皆さんに納得いただけるような説明責任を果たしていく責務が我々にはあるのだと考えます。引き続きこの国の「これから」のために、全力を尽くしてまいります。
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