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2020-12-16 07:53
世界は繋がっている
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
もう亡くなられた文芸評論家の丸谷才一さんが、谷崎潤一郎さんの『文章読本』(これは文章指導の本みたいなものでひところ流行した)の中で「文法」という用語が出てくるが、これは英文法と見ると良く分かる、と述べておられた。谷崎のような日本の古典に精通し、伝統に沿った文章を書いているが、西洋文明の影響を多分に受けそれを栄養に自分の作品を実りあるものとした。それ故、彼の作品は多く海外で翻訳され評価されるのだとも述べておられたことを思い出す。日本の歌舞伎の発展も戦国の頃のおくにの舞踊も一つだが、そのころ日本で布教されていたイエズス会の問答劇の影響もあるのではないかと述べておられた。カトリックのイエズス会のクリスマスミサではいまだに、神父と信者が、キリストの処刑決定の場面を、信者たちがその頃の群衆となり、彼を死刑にせよと叫ぶのだ。丸谷氏が示唆されるように、今の世界は、アジアにおいても伝統の中に近代化の中心をなす西洋文明がいたるところに垣間見られるのだ。アマゾンの奥地の少数民族はいざ知らず。どこの国文明も全く孤立したものであるわけではない。
12月11日のVOAを見ていたら「中国はセミコンダクター製造を自力のみで出来るか?」と題する記事を載せている。結論として、できないというものだ。米はじめ今やどこの国もこうした高度な先端技術製品は単独では出来ないのだ。米は、また最近、中国最大のチップメーカーのSMICをブラックリスト入りさせ、益々締め付けを厳しくしている。早速、この件を知り合いの日本滞在の中国人学者に取材した。彼は「うーん、企業は苦しそうだ」「政府のお偉いさんたちは、毛沢東時代の自力更生を叫ぶが、今の時代と文革時代とでは別世界なのだ。中国と言えども世界の経済のチエーンの一つなのだ」「米の一部学者などが、『一帯一路政策』をことさら誇張して成功していると称しているが、予算獲得のためのおためごかしにすぎない。中国はこの政策で各国にチャイナマネーを貸し付けたりしているが、不良債権化しているものが少なくない現状だ。日本は良く、中国へ大々的な円借を行ったと恩を着せるが、我々はきちんと利子も付けてお返ししている。世界は、そうしない、できない国が多いのだ」と述べた。
一方ネットで、韓国ウオッチャーの日経の鈴置高史氏は、大統領府に「公捜処」と言う政府高官を取り締まる機関を設置する由で、これは独占的な力を誇る韓国の検察権力の解体と自分が大統領をやめた後、監獄へ入ることのないように「歯止め」をかけるためだ。韓国は、まともな法治国ではない。次期の大統領選挙まで1年半を切った。韓国は生きるか死ぬかの政治の季節に入った。流れ弾が日本にも飛んでくることを覚悟した方が良いとまで述べておられる。12月15日の真壁昭夫・法政大教授は、文大統領がTPP 11への加盟に意欲を示した。中国の習近平主席も参加に積極的だと述べ、中国はコロナ問題その他で国際社会から疎外され、孤立感に悩んでいてそれを緩和する目的だ。米のオバマ大統領はTPPを対中包囲網として位置づけていたが、今やその性格は変わったのだ。米の政治的な混乱、空白を縫うように中国はRCEP協定の署名やTPP11への参加を目指す。今の国際社会での孤立脱却のためには、関税引き下げと言うコストなどお安いもんだと言うのだ。日本としては、中国、朝鮮半島の動きはこれから益々目を離せなくなる。
最後に世界連携の話をしたい。カナダの外交官とビジネスマンが、カナダが中国のファーウエーの創業者の娘のMeng女史の逮捕(バンクーバーの自宅での拘留だが)への復讐として逮捕され、2018年12月から拘留中で今年で3年目のクリスマスを迎える。英国の元外交官が音頭を取り、彼らにクリスマスカードを送ろうという運動だ。送る前に皆に分かるように、ネットに乗せるというもので、世界各国での賛同の声が大きい。特に、最近中国に痛め尽きられている豪、スエーデン、チエコの国々がある。
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