ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2020-11-30 08:15
右や左の旦那様
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
まもなく80才になる私だが、子供時代に、乞食、物貰いの人たちは「右や左の旦那様、一文恵んでくださいな」と言って物乞いをするものだと大人たちから言われた。もっとも、実際にそう言っている現場には立ち会ったことはなかった。その当時は、戦後間もなくの時代で、日本は貧しく、多くの傷痍軍人の方とか、戦災孤児とか、いたるところで物乞いをする人たちには会ったものだった。今のホームレスの人たちは物乞いはしない。
日本は今や世界の旦那様の立場だ。11月20日のオンラインでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)の席で、菅総理は、日本は脱炭素社会を目指すこと、世界の金融センターを目指すこと、そのために国際的な人材を招聘する手続きを簡素化する、経済面でのデジタル化に関する国際的なルールつくりに日本は貢献するつもりだ、など述べた。日本は今の自由市場と民主的な経済・政治の体制を守って行く、そのためにも自由でオープンなインド太平洋の実現に邁進するということだ。頼みの米は今や、大分弱ってきている。「バイデンは(歴史上)もっも弱い大統領として就任」などと言う語句が、新聞紙面に大きくのっている。弱い、外交音痴の米大統領と言えば、カーター大統領を思い起こす。米ソ冷戦の真っ盛りに、ソ連外交の善意を信じ、大失敗をした。今の北朝鮮問題の元は、彼の時代からきている。英国人が述べていたが、彼は田舎者で、国家主権を表す、旅券の概念にも乏しく、大統領退任後良く、旅券なしで飛行機に乗り、米の外交筋を慌てさせることがあったそうだ。バイデン大統領は、オバマに代わり良く世界での外交を担うことが多かったし、知り合いも多いのでもう少しうまくやる可能性はあるが、今の米社会の深い亀裂、分断はどうしょうもないだろう。米としてもどこにでもいる、無責任なやれ行けどんどんの人たち以外は、中国との紛争を避けたいのが本音だ。
しかし米も日本も、中国への印象が、世論でもどんどん悪くなってきている。英語圏の所謂 FIVE EYES が、香港での立法会の民主派議員の資格はく奪騒ぎへの抗議の声明を出したのに対し、中国外交部は「痛い目に合わないよう気を付けろ、失明するぞ」とまで述べて脅かしている。まるでやくざのようだ。こうまで強い態度を見せないと今の習近平体制では生き残れないのだと述べる、反体制派の中国人もいる。彼によると、西側が自由と民主主義を中国へ植え付けようとしても、今の社会では、共産党が倒れたら、もっと過激なファシスト政権になりより危険になるとも述べている。米の国際政治学者で、予測が当たると評判のイアン・ブレマーはバイデン政権は日本が中国とのより幅広い関係をかじ取りするのを手助けするでしょう、と述べてもいる。
2013年、オバマ時代に、中国が尖閣の上空にもその制空権"East China Sea Air Defence Identification Zone"を設定した際、もう少し強く抗議してくれていたらよかったのになどと言う過ぎたことに文句をつけるのはやめにしようも考えるが、米に劣らず、日本も分断しポピュリズム(大衆迎合主義)が社会の深くに入り込みつつあるかもしれない。
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
一覧へ戻る
総論稿数:4661本
東アジア共同体評議会