ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2020-11-22 11:24
米人学者との会話
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
日本滞在中の米国人の東アジア近・現代史専門の学者と会話したところ、興味が惹かれた部分次の通り紹介したい。(バイデン・ハリス正・副大統領について)米社会は、伝統的に白人、かつプロテスタントで大統領がつづいた。ケネディの時初めてのカトリックの大統領が登場した。ケネディは若さからくる無軌道行為もあり、マイナー派として米社会での苦慮するところ少なくなかった。バイデンは、ケネディのような若さからくる無軌道行為は少ないとしても、議会、党内での反バイデン派の民主党特有の仲間批判と複合しての声に悩まされることになろう。(小生より、権力闘争の激しい中国のメディアの漫画では、若いハリスがバイデンを崖から突き落とすものさえあるがとの話題に対し)鋭い指摘だ。ハリスの代表する党内左派は、バイデン引きずりおろしに、今虎視眈々としているという見方もある。彼女は、トランプより大変なかじ取りを要求されよう。そもそも、バイデン、ハリスの当選は決して彼らが求められたからと言うより、反トランプの票が投じられたのだ。カラマ・ハリスは米の歴史上初の女性副大統領だ。今まで副大統領候補では、1984年民主党カラ、ジェラルディン・フェラーロが、2008年共和党からサラ・ペイリンがいたがいずれも敗退した。大統領候補には2016年ヒラリークリントンがいたが、接戦の末敗れた。
ハリスは、父がジャマイカ人、母がインド系と日本人が考えるいわゆる黒人とはニュアンスが違う。それに離婚した母親と長くカナダに滞在した。だから一部の日本人が恐れるような、スーザン・ライスのような屈折した心情の持ち主とは少し違うのではないかと思う。アジアで優等生として、名誉白人の地位を得ている日本人ということで毛嫌いするようなことはないと思う。また幸いなことに隣国の中国も韓国も国力を大幅に増し日本との差が少なくなっている。日本人は、国際問題では鈍感さが出てきがちだ。南アフリカで人種差別が激しいとき、名誉白人の待遇を受けていたが、非白人社会では、やっかみ半分に日本人を揶揄する声が聞かれた。南アフリカのアパルトヘイト政策が国際社会で批判を浴び、制裁が施行されたが、ある豪州国籍の母親の旅券に養子で引き取った南アフリカ国籍の子供が併記されていたことがあり。そんなことには頓着しない日本の入国管理当局が、査証を出してしまった。勿論、子供と言え、これは国際的なルールからアウトである。日本への入国を最終的に拒否された母親から訴訟を起こされ、莫大な和解金で解決したこともある。
(対中姿勢)米は今や超党派で反中だという向きが日本で多いが、米の知識人層には一定の米中関係を最悪の事態になるのは食い止めるべきだとのグループが存在する。米中の政府も国民も皆戦争まで行くのは嫌だ。中国は口では高圧的なことを最近言いがちだが、まだ米にはまだ敵わないと考えているのだ。バイデン民主党は地球温暖化対応、環境問題に熱心だ。そのためには世界の二大CO2排出国の米中が手を組まねばなにごとも前進しないのだ。中国と取引をする際水面下でトランプ時代の懲罰的高額関税、台湾への武器輸出、5Gを中心としたハイテク産業への締め付けの緩和などいくらでも材料はある。
(アジア政策)日本ではオバマ時代にもう少し踏み込んだ対中国への対応を取っていたのなら、今の惨状は少なかった。そもそも、当時の米政権のアジアへ塾足を移すは口先だけだったのかとの声をよく聞く。バイデンが果たしてアナザーオバマとなるかこれからの見どころだ。彼は副大統領として外交活動は幅広く行い、世界のほとんどの首脳陣と顔見知りだ、しかし、ミニトランプ的なフイリッピンの大統領や軍人のタイの首相などそりの合わない人物も少なくない。特に要注意はインドのモディ首相で、そもそも民主党は以前から彼のヒンズー教至上主義で、国内のマイナーな層への弾圧を行うなどと批判は強い。クアッドの重要国でもあるインドとどう対応するかも見ものだ。
(日本との関係)菅総理との15分間の米日首脳会談で、日本の報道は、バイデンが尖閣への日米安保の適用を述べたと大々的に報じていた。オバマ時代にヒラリー・クリントン国務長官があまり考えずに述べたフレーズで。ワシントンでは、「正解」だったのか首を傾げる向きも少なくない。却って、注目を集めるイッシュウとなってしまった。今血気にはやる中国の現場が、米の態度を試そうとして攻撃を仕掛ける恐れも出てくるとの見方も強い。尖閣は無人の島だ。それを米の兵士が血を流す必要があるのかとの声も聞かれる。
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
一覧へ戻る
総論稿数:4661本
東アジア共同体評議会