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2020-08-28 08:20
所謂「媚中」派について考える
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
日本は、今まで中国にさんざん虐めまくられてきた。国交開始後、ODAなどでいろいろ助けてきたのにだ。しかし、米の最近の強硬姿勢に、微笑を送り出している。しかし、お騒がせ中国さんは、100%対日歩み寄りではなく、尖閣などへの領海侵入は継続しつつだ。これを、統治能力の問題と見るか、共産主義体制の対外政策の手段、あるいは他の狙いなどについては識者の分析に任せることとして、いわゆる「媚中」問題に絞る。日本の右寄りの方々は、今や米が対中強硬に目が覚めた。ここで日本は旗色鮮明にし、米とともに対中包囲網をやろうではないかと騒がしい。そして、自民党内でも、外野でも中国とのチャンネル保持の担当の二階幹事長への攻撃が厳しい。その代表的論評が、「WILL]10月号の、古森義久氏の「米国に『媚中』と名指しされた二階幹事長と今井補佐官」だ。内容は、トランプ政権はワシントンの有力シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)の報告書が、二階、今井両氏の名を出して、日本の権力中枢に巣食う親中派に目を光らせている。彼らの安倍総理への説得で、安倍対中外交は親中へ舵を切りつつある。特に今井氏は、公式の立場でのきちんとした政策議論などを経ないで、密室で、総理との親密な関係を利用して、二階氏のような党内親中派と手を組んで外交を変えようとしていると手厳しい。
古森氏は、現地の報道を「ベタ」に翻訳して送ってくるのみの特派員とは違い、ご自分で取材もされ、いつもきらりと光る記事を書く方で、どちらかと言えば応援している記者だ。同氏は北京にも駐在されていたので、お分かりの上で述べているかもしれないが、正面から反論してみたい。中国と付き合うときは、日米のような民主主義の国とは根本的に違う。日米では、総理、大統領の悪口をいくらでも言える。中国では一発で退場だ。下手すると牢獄行き、最悪は、今、カナダの外交官が面しているような、死刑宣告もありうるのだ。大人の感覚では、あまりにもベタな、「日中友好」「親善」「中国の嫌がる問題について提起を控える」など、いい加減にせよと言いたくなる。しかし、それをやらないとチャンネルが閉ざされてしまうのだ。相手は、子供のような部分をいまだ持つ体質の国なのだ。右側のおじさん、お姉さんたちは、スカッとさわやかがお好きだが、子供の世界でもじっと我慢が必要なのだ。
今や日本経済は、対米より、対中の方が、はるかに大きい。ざっと4割と計算する人もいる。スカット組が、今の生活を4割切り詰めろと言われ、はいそうですかとおとなしく従えるのか。二階さんは、文革の西側の皆が中国に目を背けていたころにもチャンネルを絶やさないように懸命の努力をなされていた。一軒家には、居間や、書斎や客間ばかりではなく、トイレも物置も必要なのだ。公開されてる外交文書を読むと、その頃の米の対中外交は表向きは、民主主義弾圧に猛反発して、民主派の人たちを香港経由助けたりだが、ブッシュ(父親)大統領は秘かに密使を送り、中国とのチャンネル確保に努めてもいる。ブッシュは、70年代米の対中交流が始まったころ、まだ国交がない中で、北京の連絡事務所長をしていたこともある。夏休みにはブッシュ(ジュニア)も、北京の外交官街をうろついていたことだろう。
トランプ政権が提起していることは、前から日本の対中関係者たちが口を酸っぱくして述べていたことのオウム返しだ。特に米は、クリントン大統領時代には中国べったり、日本叩きに大忙しだった。若き日の安倍さんは歴史修正主義者として、当時から外部にも洩れ伝えられていたウイグルでの迫害などに目をつぶり、反人道主義者などと言われていた。外交官の手当てに、勤務地が大変な場所への赴任者には、瘴癘地手当と言うのがある。厳しい任地にはそれを出して、外交官のインセンティブを高めようとの仕組みだ。驚くことに、共産中国と、同盟国民主主義の日本との両方に米は出しているのだ。どこの国も自国の若者の血を無駄に流したくはない。尖閣のために中国と戦争などほとんどの米国民にとり真っ平だろう。トランプさんが日本へ応分の安全保障での負担を求めてきているのなら、その責任を果たすためにも自力である程度は尖閣を守れる、トータルな軍事力も当然必要だ。何時までも米軍の補完的地位にいるべきではない。それに対し、今の日本は理解しない人たちが少なくない。その人たちを説得するためにも、全知全能を尽くしあらゆる手段で対応してゆくよりは策はない。何でも旗色鮮明にして、スカッとすればよいのではない。あるところはグレーゾーンを残し、一見すると優柔不断に見える姿勢、あるところは「忍」の一時で耐え忍ぶ場面も必要なのだ。
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