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2020-05-12 21:11
金正恩健在誇示直後の銃撃が意味すること
荒木 和博
拓殖大学教授
「金正恩健在」との報道があった日の翌日、5月3日に休戦ラインを越えて北朝鮮側から韓国軍の監視哨に撃ち込まれた銃弾は14.5mmの口径のものだったそうです。韓国軍は当初「南北の監視哨(見張りのための拠点)間の距離(1.5~1.9km)よりも機銃の有効射程が短いから誤射だ」としていましたが、韓国軍の資料に14.5mm機銃の有効射程が3kmであると書いてあったそうで、韓国政府と韓国軍どころか軍の中でも発表が矛盾しています。文在寅政権に批判的な韓国の有力紙「朝鮮日報」によれば14.5mm機銃の弾4発が監視哨に命中して「誤射」はないだろうとのこと。
「朝鮮日報」の記事にもありましたが、この14.5mm機銃は張成沢処刑にも使われたものです。私が予備自衛官だった当時に使った小銃の口径は5.56mmか7.62mmでした。それでも音といい衝撃といいかなりのものです。14.5mmが2、3発当たれば人間の形は残らないでしょう(なお張成沢処刑のときはご丁寧に粉々になった肉片を火炎放射器で焼いたと言われています)。
横浜の海上保安庁の資料館に展示されている北朝鮮工作船にもこの14.5mm機銃が積まれていました。漁船を偽装するために普段は隠されていて、引っ張り出して(レールが付いています)使うようになっています。このときは使う余裕がなかったようですが、もし巡視船のキャビンにでも弾が当たっていたら何人も死傷者が出ていたことは間違いありません。
状況証拠からして韓国政府が何と言おうと、北朝鮮側が狙ったことは間違いありません(「誤射」などと言ったら朝鮮人民軍が抗議するかも)。金正恩が健全だと誇示した翌日になぜ休戦ラインでの14.5mmを撃ったのでしょう。昨日報道された金正恩から習近平への「口頭信書」のヨイショと合わせて考えると生死はともかく金正恩がものを決めるということができない状態で、北朝鮮の内部が学級崩壊状態になっている可能性もあると思います。
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