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2020-03-18 10:48
最近の国際情勢について
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
18日の日本の新聞では、新型コロナウイルスの蔓延に伴い27カ国で「非常事態宣言」、地域の移動制限の動きが広がっているとある。世界における死者も震源地の中国本土を超え3400人(中国3200人)となった。米のトランプ大統領は、急速に感染の広まりつつある状況に危機感を持ち、10人以上の会合の自粛の呼びかけを行った。仏のマクロン大統領はテレビで15日間の外出制限を呼び掛け「我々は(見えないウイルスと)戦争状態にある」と述べた。
天邪鬼の筆者は、米国務省の人権白書で、最近の中国における新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒の強制キャンプ措置への非難もあるが、日本の司法制度にも言及し、逮捕後の長期の容疑者の拘束は人権を侵害していると述べてもいる。これで日産のゴーンの下にいる外人社長は米国籍だったと思い当たる。クリントン大統領時代のように中国への言及なしに、日本の米との違いばかりに目を向けてそれを叩くより少しはましかと強いて納得する。フランスでは、先進国首脳7か国の会議場へ、日光で行方不明となり、未だ見つからない女性の家族が出てきて、日本の警察の無能、力のなさを攻撃した。日光では、百名近くの警察が動員され、大々的な山探しなど行っているのにだ。その頃、フランスで筑波大学の女学生が南米の留学生にどうも危害を受けたらしく行方不明になったが、フランス警察はあまり真面目に取り組んでいない。日本の報道も、近場の中国、韓国のことになると、顕微鏡であら捜し、不公平を訴えるが、白人社会へは、未だに遠慮の気持ちが出るのか、スルーしている。
日中、日韓、日米問題などと言われるものも、実態は日日問題でもある。安倍政権の中国に対する入国禁止措置が遅すぎたとか、全国の学校の一斉休校への風当たりも少しは収まることを期待したい。安倍総理の祖父の岸信介総理が、安全保障条約改定議決後に、右翼に刺されたことが思い出される。ケント・カルダー米教授が少し触れているように、中国の前政権の胡錦濤政権時代は、西側との融和を目指しつつ試行錯誤だった。対日でも、馬立誠などの論客が対日和解を呼びかけ奮闘していたが、当時の小泉政権は靖国参拝にこだわり、対中外交は喧嘩外交に邁進し、ワンフレーズ劇場型政治を進め、当時の日本社会はこれを熱狂的に支持した。安倍対中外交のほとんどの力は、そのダメージ回復に費やされた。
知人の日本総領事は、小泉さんの1年目は、まだ、副省長(副知事)に会えたのが、2年目は部長クラス、3年目は課長クラスと落ちて行って、何事もトップダウンで決められる現地では大変だったと述べる。また、別の知人は、その頃「政冷経熱」などと言い、政治は冷却したが経済は熱いなどと言われたが、経済でも儲けの薄い小物案件はもらえても、中長期にしっかりと儲けられる社会の根幹への事業は難しかった。別の音楽関係の人間は、ドイツは中国資本を入れて、ドイツ製のピアノを売りまくっている。米だって、金のなる木の中国市場を目指し、ジュリアード音楽院が、海外への分校を中国に始めてつくり音楽家やパーフォーマンスアート、舞踊その他国際芸術の拠点を作りつつある。そこで米と同じように修士号も取得できる体制だ、と日本の落伍を嘆く。勿論、歴史のイフは、そうならない可能性が強い。小泉政権が融和政策を試みていたとしても、やはり、現在の習近平路線のような西側との対決姿勢になっていた可能性も強い。きっとそうなっていただろう。しかし、国際社会では、アクターが皆な合理的に動くとは限らない、我々は常にイマジネーションを膨らませ、国際社会の複雑性に即座に、緻密に対応できるように、心の諸準備をしていることが必要だ。
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