ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2020-02-12 11:27
新型コロナウイルス終息後の世界を考える
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
12日の日本の報道では、新型コロナウイルスは、中国では死者千人を超した。ミクロネシアなどの太平洋諸国3か国は日本人の入国禁止、韓国の保健当局は日本を含め、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、台湾への渡航は最低限に控えるよう勧告と出ている。また、米ではFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が、議会証言で新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に波及する可能性があり注意深く見ていると述べている。これから日本へどう影響してくるのか、五輪への影響はどうなるのか、神ならぬ身誰も予測はつかない。今朝都心でアルコール消毒のウエットタオルを購入しようとしたところ、店員から「一人1個でお願いします」と言われた。大量に買い、本国へ持ち帰り高値で転売をもくろむ人間もいるようだ。
知り合いの中国人学者、同人は知識人として、体制批判の意見の持ち主なのでその点少し軌道修正して聞く必要があるが、次のように現状につき述べている。「確かに米などが批判しているように、中国の中央集権体制による「言論の自由」統制などが、今の非常時での情報の共有、迅速なる情報の伝達、現場への権限移譲などの面で妨げとなっていることは認めるが、今や中国では人民戦争という言葉の下、非常事態宣言がなされ、民主国家では難しい集会の自由や移動の自由など有無を言わせず禁止、感染者隔離など行い、拡大阻止に懸命だ。世界も一面その強制力に期待している。(西側の報道に一部あるが、習近平体制に強い批判はないのかとの問いに)今の中国人は、自分及び家族の健康への心配でそれどころではない、中央政府に歯向かう余裕はないと」述べている。中国の内部事情に詳しい、冨坂聡・拓大教授は、むしろ習主席には「追い風」と述べている。人々の怒りの対象は、地方政府に向けられているし、このところ不調だった中国経済の不調悪化原因の矛先も新型コロナウイルに転嫁できる。
一方、米のトランプ政権はウハウハかと言うと、取材した米学者の発言では、そうでもない。今11月の大統領選挙に向け米国も非常時だ。トランプ大統領の売りは、米経済の向上、特に株価の向上にある。今の中国経済の悪化がブーメランのごとく、米経済、株価に11月までに影響が出てくる可能性は十分ある。そもそも、トランプが、前回勝利したのは、僅少差だったことを忘れてはいけない。自分の調べでは、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンの3州での8万票がスイングしただけで、民主党に負ける可能性がある。(2月4日のトランプ大統領一般教書演説で、「中国政府と連携し、新型コロナウイルスに対応するため緊密に協力している」との発言について)実際にどの程度連携しているのか、外部からはうかがい知れない。しかし、7日には、習近平主席と電話会談をしている。報道では、習近平主席は、米の中国本土からの人間の一律の渡航禁止にクレームを付けたなどと言われるが、水面下の動きは分からない。今、中国について不勉強な経済人、政治家などが、時流に乗って、不公正貿易、または、安全保障面での脅威を大きく取り上げて、中国攻撃に一生懸命だ。しかし、トランプ政権内部でも、中国たたきがそう簡単なことではないとの認識が深まっている。米の国益を守りつつも、中国と協力できるところはしていくべきだ。世界は秩序、世界環境を守るためにも必要ではないのか。日本はじめ世界の多くの先進国も、貿易量は米より中国のほうが多い、米の裏庭と言われる南米もそうだしアフリカでも米を越してきている。それに、米側があまり強くタカ派的発言ばかりすると、かえって中国側の強硬派を喜ばせることになり、米にとり得策ではないのではなどの反省が出てきている。
今回の騒動も永遠ではない。SARSの時がそうであったようにやがては終わる。中国は、前回では2003年以降不死鳥のように蘇り、その後の経済は二けたのすさまじい勢いで成長した。この関連で、2月9日付けの読売新聞の一面を割いての小谷哲男・明海大准教授の発言は示唆するところ大だ。その中で小谷氏は、東アジアの5年後、10年後を展望するとき、もっとも重要な要素は中国の対外政策だとして、大要次のように述べている。「(東アジアで米中戦争は起きた場合)現状でも緒戦では中国軍が米軍を圧倒する」「中国が狙うのはアジアでの米軍排除」「中国ミサイルの能力向上を受け、米軍が『危険すぎて、もうアジアに米軍は駐留出来ない』と言い出す事態は、近い将来のシナリオとして想定すべき」と述べている。
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
一覧へ戻る
総論稿数:4661本
東アジア共同体評議会