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2020-02-05 19:50
中国に迫る国家崩壊の危機
赤峰 和彦
自営業
一部の報道では、湖北省での新型コロナウイルスに加えて、湖南省を中心に鳥インフルエンザの流行が起きているとのことです。最新の中国の現況について、筆者が聞き及ぶところでは、新型コロナウイルス対策では都市部でも対応し切れない状態で、地方では何の手も打てずにいます。そんな状況ですから、中国のメディアでは鳥インフルエンザ感染のあった養鶏場を封鎖したとか、何万羽の鷄を殺処分したと報じているのものの、本当は何もできていないように思います。
中国王朝興亡の歴史は疫病の歴史でもあります。古くは紀元前の周に「大疫」が起こり、それが王朝の滅亡に繋がっています。現代中国の直前三王朝も例外ではありません。14世紀のヨーロッパで猛威をふるい欧州人口の三分の一を市に至らしめたペストは、実は中国からヨーロッパにまで版図を広げようとしたモンゴル人が広めたもので、元はペストに苦しめられ衰退に繋がりました。次の明王朝では、末期に華北でペストと天然痘が大流行して1000万人が死亡したとされています。また、その次の清王朝でも肺ペストが流行、ペスト対策を口実に列強の介入を招き、さらに日清戦争の敗北を招来して崩壊しました。
このような危機において、中国は通史的に国民の保護を優先するという考えが希薄で、それが生活衛生政策に表れるため民衆は政府の指導を信じない傾向があります。したがって、中国の人たちの間で社会不安が起きたとき、国家が怨嗟の対象になりやすいのです。その際、政府が社会秩序のためと人権侵害を厭わず強権を発動するのが日常茶飯事で、それは共産党政権であっても変わりはありません。さて、目先を変えれば、中国経済は「債務危機」「連鎖破綻」「不良資産」の三重苦に見舞われています。それにもかかわらず、政府高官の私有財産は膨らむ一方で、多くの中国国民は疲弊しています。ここに新型コロナウイルスに鳥インフルエンザが追い打ちをかける状況となれば、現代中国は歴代王朝と同じ運命をたどりかねないように思います。
中国は現在、コロナウイルスや米中摩擦など数多くの難局を乗り越えようと必死になっていますが、以前の隆盛を維持して2022年の冬季北京五輪を華々しく迎えられるのかはなはだ疑問です。明や清のような運命を辿らないと言い切れるでしょうか。そのとき、私たちの目には、中華人民共和国の実像を認識することで、国家という存在が私たちに本当に必要なものなのかということを改めて問いかけるきっかけになると考えられます。
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