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2019-12-20 12:39
A級戦犯問題、国際貢献問題などについて考える
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
12月11日付の本欄「ドアー出入りの際の礼儀作法から考える」を読んだ知人から、A級戦犯分祠は少し非情ではないかとのコメントを頂いた。この件での説明とそれに付随して考えるところを少し述べる。確かに多くの国民は、A級戦犯のほとんどの方々が日本敗戦の罪を一身に背負い、従容として刑に服されたことに衷心より敬意を表することだろう。ご遺族の方々からすると、他にもっと罪に服すべき人がいたのではないかとの思いがあるかもしれない。俺もあとから行くからと、若者を特攻へと追い立てて、自分はその後のうのうと余生を過ごした当時の上層部の人たちに対して釈然としないものを感じたりする。戦後東南アジアなどで行われたB、C級戦犯裁判は弁護もあまりなく、悲惨なものが多かった。収容所で食料に「ごぼう」を提供したところ、それを白人の元捕虜が「木くず」を食べさせられたとして、死刑になった話は泣くに泣けないものだ。今や、中国においてさえ健康食品として、食用になりつつあるが、当時は日本以外ではあまり普及していなかったようだ。
こうしたいろいろな議論の余地はあるものの、日本は、各種戦争裁判、サンフランシスコ平和条約を受け入れ、その後の発展がある。日本は時に他者を排除し内向きで独りよがりな社会になりがちだ。ちょっと立ち止まって考えてみる必要があろう。司馬遼太郎、池澤夏樹はとも好きな作家で、時に啓発されるところも多いが、司馬は「坂の上の雲」で、乃木、東郷両軍人を対比し、前者を愚将の典型とし、後者を称揚しておられる。後の資料などから判明したところでは、203高地の争奪がいかに日露戦争の勝敗を握ったかが良く分かるし、神格化された東郷がその後の軍部の突出を招き、軍事費膨張へ歯止めがかからなくさせたことも分かる。池澤は、鈴木宗男議員とタッグを組んで、汚職疑惑で有罪とされた佐藤優氏を強く弁護し、司法当局を痛罵されておられる。しかし、日本の司法が、本当に中国、ロシアのように暗黒のものだろうか。佐藤氏の時としての鋭い国際情勢分析には敬意を表するのにやぶさかではないが、首をかしげざるを得ない。
鈴木、佐藤両氏は、「命のビザ」を発給したとして、よくテレビや映画でもてはやされている元某ロシア語外交官を称揚されておられる。外務省外交史料館には、鈴木議員発案の専用のコーナーまで設置されている。普通の日本人は、5000人のユダヤ人の命を救った偉い人だ、めでたしめでたしで終わる。しかし事実はだいぶ複雑だ。日本へ送られたユダヤ人のうち、米国が引き取ったのは少数に過ぎず、残りの人々は当時治外法権地域であった中国上海に転送された。心ある軍の担当者が、そこにも押し寄せるナチドイツの強い欧州への返還要求をはねのけ、居留に努力した。今や中国の一部は、これを使い日本は上海でもユダヤ人を虐待した。中国はこれに色々抵抗したと書き立てだした。息子が上海で仕事をしている知人のオランダ人が、これをまともに信じ、年末のクリスマスカードの年次報告にこれを書いたりした。ある欧州人が、オランダがユダヤ人問題に熱心なのは、ドイツ以外で一番ユダヤ人を虐待したのはオランダだからだと述べていたのは印象的だ。
アフガンで多大な貢献をされておられた日本人医師の殺害は、まことに残念な話だ。しかし、国際貢献においてはこうした非情で非条里な事は珍しくない。テレビで日本の芸能人が、アフリカでの国際貢献における自分の活動を自慢げに話されているのを拝聴した。彼女は、自分が日本の多大な資金援助などのバックがあり、現地で特別待遇を受けて活動していたのだということを知らないようだ。カナダの人口は、日本の3分の1であるが、十年前に調べたところでは、こうした国際貢献で命を落とされた方の人数が80数名だった。アフリカでの人道支援活動をされておられる夫婦を知っている。ナイジェリアで活動をされておられ、現地の治安の悪さは承知しており用心はしていたが、奥さんが車で自宅のゲイトをくぐり抜けたとき、一緒に数名の暴漢が紛れ込み、自宅にいたご令嬢と訪問していたその友達を凌辱される被害にあった。
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