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2019-11-23 10:45
北大教授の中国での拘束事件が教えるもの
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
北海道大学教授が中国の公的機関の招へいで北京を訪問し拘束された事件は、同じ近現代史研究者はじめ、日本の学会その他に少なからぬ衝撃を与えた。同教授は帰国後公開の席では一切発言をしていないが、それも圧力の大きさを想像させるものだ。一説によると、現政権の習近平主席は毛沢東賛美に走っているが、同教授はそれに反発する中国側研究者から秘かに資料をもらっていたとのことだ。こうした資料が反中国的かどうかの解釈は中国当局が握っており、恣意的にどうにでも操作できる。
中国は口では他国への内政不干渉を唱えて、世界経済市場へ進出し大いなる成果を上げている。その実、中国社会の不安定になりそうな物事には、例えば国外の中国研究者の反中国的な言動にたいしては牙をむいてくる。今の香港での騒動の背景の一つには、反中国的な書籍などを販売したとして、香港の書店のオーナーが誘拐拘束されたことだと西側メディアは報じているし、また、タイでは脱北ならぬ脱中の人物を中国当局が誘拐していることにタイ政府は目をつぶっているとも報じている。
11月20日付けの姉妹e-論壇「百花斉放」に掲載された荒木和博教授の「韓国による脱北者強制送還が意味すること」では、韓国政府が脱北者を北へ送り返したと述べておられるが、この示唆するところは大だ。今後、日本においても、かって皇居の横のパレスホテルから、白昼堂々と金大中が韓国政府当局に誘拐された事件を思い起こさせる。これと類似のことが対中との間でも起こる可能性が出てきたのだ。金大中事件の当時は、韓国との経済格差は圧倒的に優位だった。日本外交当局も頑張って金大中の命は助かり、のちの大統領にもなった。
中国との間で今後、同類の事件が生起した場合、相手は今や経済力、軍事力とも日本を圧倒している。それでも頑張って、日本の発言を押し通すことが出来るか、色々考えさせるものがある。
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