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2019-09-25 19:18
日韓関係悪化そのものが目的だったとしたら
荒木 和博
拓殖大学教授・特定失踪者問題調査会代表
北朝鮮の基本方針をご存知でしょうか。米国との関係においては、韓国政府の頭越しに交渉して一定の関係を築いて、在韓米軍を撤退させることです。韓国との関係においては、韓国国内で革命の機運を醸成して内乱を引き起こし、その勢力に呼応して朝鮮人民軍が南侵し「南朝鮮傀儡(=韓国政府)」を打倒して統一を実現する、というものです。この武力行使の際には、米国が軍事介入できないように朝鮮半島内部の問題とします。これが朝鮮戦争休戦後60年以上続いてきました。
韓国では、すでに「南朝鮮傀儡」どころか「北朝鮮の傀儡」も同然ではないかとおもわずにはいられないような政権ができてしまいました。文在寅氏が青瓦台に入って以来、米国と韓国の関係は距離が広がる一方です。在韓米軍撤退も時間の問題でしょうし、そうなれば米国本土にミサイルが飛んでくるという状況にでもならない限り軍事介入することにならないのではないかと考えています(まあ、朝鮮人民軍は人民軍で核・ミサイルや生物化学兵器はともかく一般部隊になると骨董品なみの兵器で食料も燃料もなく、とても「南朝鮮を解放」できそうには見えませんが)。
さてその韓国政府ですが、文在寅大統領にとっては日韓・米韓の関係が良好では困るわけで、ともかくなんとかして関係を悪化させたいとかんがえるのが当然です。米国に対しては、韓国本土に軍隊が駐留していることもあり、あからさまに批判するのは控えています。ですが、日本に対しては露骨で、関係を悪くすること自体が目的と言っても過言ではありません。振り返れば、過去の保守政権、李明博・朴槿恵政権でも大統領の竹島上陸とか「千年の恨み」発言などという反日的な振る舞いはありました。こうなった原因は、左翼親北勢力から「親日派」と叩かれるのに耐えられなかったことが一つあるでしょう。まずかったのは、そういう向こう見ずな韓国大統領の対日政策に対して、日本政府が不必要に謝ったり、原則的な姿勢を続けなかったりしたことです。そして、残念ですが、日本という国自体の存在感が低下していたという側面も少なくなかったと思います。とはいえ、先に上げた政権は何某か外交成果をあげようとした結果として、対日関係を悪化させたのであって、日本も上手く外交を進めれば活路が開く可能性がありました。しかし、今の政権は最初から日韓関係を悪くすること自体が目的なので、日本がいくら譲歩しようが関係は絶対に良くなりません。
日韓関係は酷い状況ではありますが、むしろこのような中で韓国の中に「日本の言っていることの方が、理があるのではないか」という声が少しずつですが高まりつつあります。今から17年前、韓国で出た『親日派のための弁明』(金完燮著・草思社)は、日本ではベストセラーになりましたが、当の韓国では「青少年有害図書」の扱いでビニールを巻いて(昔懐かしい「ビニ本」扱い)書店の片隅に置かれていました。一方、今年の5月に発行された『反日種族主義』(李栄薫他著)はすでに10万部を突破してベストセラーになっていると聞きます。そういう意味では文在寅政権にはもっと反日的な政策を強めてもらった方が良いのかもしれません。少なくともこちらが勘違いして妥協することだけはやめた方が良いと思います。さらに言えば発言を躊躇している脱北者などはこれを機会に日本政府が保護をして情報を集めるべきではないでしょうか。
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