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2018-11-22 16:46
ロシアと手を組む重要性
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
安倍総理のプーチンと話し合ったといわれる「平和条約締結そして二島返還へ」は極めて評判が悪い。本欄および姉妹e-論壇「百花斉放」に掲載された投稿だけでも、私の敬愛する、杉浦正章、倉西雅子、袴田茂樹諸氏は、極めてネガティブなご意見だ。そして、「二島返還」の賛成者には日ソ間を仲介役のふりをして、うろちょろする政治屋、評論家もどきなどの人が多い。しかし、あえて安倍総理の合意発言に賛成する。橋本宏氏が11月15日付「百花斉放」の投稿「北方領土と日ロ平和条約締結問題」で述べられておられる、「太平洋戦争へ突入という、悔やんでも悔やみきれない国策」を反省し、どう生かすかが今後我が国が生き延びてゆく道だと思う。
確かに、ロシアも中国も一方で主権平等、世界平和を口で唱えながら他方で平気で近隣地域の領土主権を踏みにじっている。彼らは 今の国際ルールは米など先進西側の有利にできていると主張している。日本が第二次大戦で痛い目にあったのは、当時の世界での主流国米、英などをすべて敵に回したことだ。倉西氏が述べるように日本は、ソ連とは中立条約を結び見事に裏切られた。残虐行為にも、弱肉強食の国際社会では、水に落ちた犬は、叩かれるということだ。敵は一つに絞れ、他は悪魔とも手を結べということだ。今、中国は21世紀のドイツといわれている。現今の自由と繁栄の秩序への最大のチャレンジャーは中国なのだ。最近トランプが怒って、米中貿易戦争を仕掛けている。その最中の安倍総理の訪中で、タイミングは悪い。最近支持率低下のプーチンは、二島返還についても「主権」がどうとかと煮え切らない。しかし、領土が還らなくともよいのだ、敵に回さないでいることが大事なのだ。
現在、ロシアと中国は蜜月にあるとも言われている。しかし、40年前には、中国の最大の敵だったのだ。そのため、日本、米は、中国との交流が比較的スムーズにいった。中国は安倍総理を、歴史認識を大幅に変更したわけではないがつい先ごろまで歴史修正主義者としてこっぴどくたたいていたのを忘れたかのように北京へ迎え入れた。だいぶ身勝手なのだ。ロシア専門家によると、ロシアは千島列島に対米として軍事基地を設け整備しているが、これは表向きで、いつでも対中国に方向転換できるそうだ。中国の一帯一路政策も、ロシアの権益浸食しだしているし、北極航路への中国の進出は、極めてデリケートな問題となっている。そして、ロシアと中国はめでたく国境問題を解決したいわれるが、中国が時に水面下で持ち出すのは、ロシア極東のウラジオストックのある沿海州地域の問題だ。これは、旧ロシアが清国より奪った台湾よりだいぶ広い地域だ。今後より強大になった中国はこれの返還を求めるのではないかと戦々恐々だと聞く。蜜月だとは言え、ロシアは今の弟分的な地位に不快感を持っている。
日本が今、頼りにしている米国だっていつ、裏切るか分からないのだ。1971年、国連での台湾追放問題で当時の佐藤政権は最後まで追放に反対し、諸努力をした。米の裏切りで、安保理の拒否権が使えない総会決議ということになり、負けてしまった。米は、その後「台湾関係法」などでフォローをしたが、これは米の西太平洋での権益を守るのに必要だからだ。国際社会を生きてゆくためには、「韓信の股くぐり」も必要なのだ。屈辱に耐え知恵を十分に働かすことだ。ゴーン氏逮捕でフランスはじめ西欧諸国の日本異質論が始まっている。これは、日本の景気が良かったころの仏の女性首相エディト・クレソンの「日本人はウサギ小屋住民」発言を想起させる。我々は単細胞的な反論はやめ、笑ってやり過ごさねばならない時もあることを知るべきなのだ。そして、しぶとく国際社会で生き抜いてゆかねばならない。
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