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2018-10-22 14:19
ブレット・カバノー氏のスキャンダルについて
佐藤 七海
NPO
米中間選挙が近づいてきて、世間ではその結果に対する関心が高まっています。そのような中、性的暴行を受けたと3人もの女性に訴えられた最高裁判事候補のブレット・カバノー氏のスキャンダルは、共和党の試練を象徴するかのようです。10月6日、米上院において50対48票で性犯罪の疑いを受けていた最高裁候補ブレット・カバノー氏が承認されました。極めて僅差でした。一部党のコンセンサスと逆の投票をした議員もいたようですが、ほぼ共和党と民主党が物別れしたことを意味する投票結果です。カバノー氏に対するFBIの調査報告書の是非について投票直前まで紛糾するなどアメリカではかなり大きな問題となりました。
ただ、「#METOO」運動真っ只中のアメリカにあって、一時はトランプ大統領と共和党に地獄を見せるのではないかと言われていたこの政治問題。民主党の面目躍如となるかと思いましたが、人事的には思いの外あっけなく決着しました。むしろ、上院多数党院内総務を務めトランプ大統領との対立で紙面を賑わせたこともあるミッチ・マコーネル氏が、ワシントン・ポストの取材に「カバノー氏の性的暴行疑惑は単なる政治的妨害である」と一蹴したのが印象的でした。民主党が粘りを見せれば政局としてはまだ続くでしょうか、現在のところ、共和党の結束が確認され、トランプ支持者の熱狂はこの手のスキャンダルでは剥落しないことが明らかになっただけように思います。
とはいえ、性的暴行疑惑が払拭されないままに押し切られるように人事的決着がなされたのは、残念なことでした。女性の人権を重視する多くの民主党支持者や「#METOO」運動に賛同する多くのアメリカ人は全く納得していないでしょう。上院司法委員会の委員長であるチャック・グラスリー氏が10月4日の朝に「司法委員会とFBIは、女性たちの主張を裏付ける証拠は見つけられなかった」と声明を出すなど幕引きを狙いましたが、民主党が主張する通りFBIの捜査は期間が1週間に限定されていたり詳細が示されないなど不完全で不誠実な感が否めません。
確かにカバノー氏の人事が上院をパスすることは事前にある程度予想されていたことでしたが、共和党が所属議員を締め付けて公正さが疑われるFBI捜査をもって押し切った上院での戦術は、プロセスとして不適当でした。今回多くの人々が、共和党議員が女性の性的自由に鈍感で自由主義的理念よりも党利党略に影響されやすい側面をもっていることを再認識したことでしょう。今回の件が共和党の支持基盤を崩すかはわかりませんが、中間選挙に向けて共和党のイメージアップにつながらなかったことは確かでしょう。
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