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2018-09-08 13:49
最近の日中関係について
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
知日派の中国知識人と、日中関係について懇談した。その内容を紹介したい。
知日派の中国知識人は、「日本へ来て、日本の政界財界関係者が日中関係を動かそうと非常にポジティヴなのが印象的だ。10月23日の日中平和友好条約締結40周年をめどにしての安倍総理の訪中、そして来年の習近平主席の訪日が目玉日程だ。日本外交は、以前は欧米と違い、あまり人権、民主、自由などを旗印にすることはなく、現実主義を貫てきた。安倍総理になり、対中国包囲網構築のためこれらスローガンを使うようになった。いわゆる「地球儀を俯瞰する戦略外交」だ。しかし、最近の米、トランプ政権の同盟国切りの動きに日米同盟の価値を持続できるのか疑問視されるようになった。これから、米の日本たたきが行われないとの保証はない。そこで、保険を掛けるためにも対中関係改善へ動き出すのだと見る中国側識者もいる」と述べていた。
また、尖閣に関して「隣国同士の領土問題はいつも厄介な問題だが、われわれ知日派は、尖閣につき、福田政権当時から、日本が慎重に扱ってきたのを知っており、折に触れ、この日本の動きを秘かに宣伝してもいる(笑い)。勿論、日本びいきは表に出すと国内の一部の過激なナショナリストから目の敵にされ、かえって日中関係を悪くさせるので、水面下で、理解出そうな中国人向けに話をする。当時の園田外相は、尖閣への日本の活動家の上陸や灯台設置への動きなどを慎重に押しとどめ、日本の潜在自主権を静かに維持した。これは、竹島や、北方領土での施設の大々的設置や人の移住奨励などの動きとは大違いだ。日本の品格ある対応につき理解する中国人も多い。特に、近年600万人以上の観光客の多くが、日本のきれいな空気きれいな水、丁寧なサービスに魅せられて帰国するものが多い」と述べていた。
最後に、日中関係と習近平体制について、「60年代70年代の毛沢東や周恩来が、日中関係促進のために唱えた『軍民二分論(日本の一部軍人と一般国民とを二分し、前者が中国へ悪さをしたので後者は中国人と同じ被害者の立場だとするもの)』が、今や通用しない意見多様化の時代になりつつある。面白いことに、真に戦争を経験した者たちは、かえって上記の『二分論』を支持するが、戦争経験のない若者たち、とくに中国が豊かになりつつある時代以後のものは、イデオロギーに染まり、反日ムードに流されやすいことだ。しかし、じかに訪日しての日本経験で、すっかり日本びいきに転向する。日中間の衝突は、習近平政権の一部過激派を喜ばす、彼らは中国の国内団結の材料に使えるとほくそえむのだ。日本が平和で静かに繁栄をしてくれることが、中国の人権、民主、自由の真の向上に貢献するのだ。世界の一部専門家の中国経済への危機感は、中国でもひそかに囁かれている。一般国民は経済の浮上、昨日より確実に生活が向上していることにウキウキしているものが多いが、知識人たちの少なからぬものが、習近平体制の言論弾圧や汚職追放を表向きにしての権力闘争に嫌気がさしている。不満は溜まっている」と述べていた。
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