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2018-08-02 13:19
最近の中国による脅威をどうみるか
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
最近の李克強中国総理の来日や、中国の主導する「一帯一路政策」に対し、「これは、中国が世界に提供する公共財だ。だから日本は協力すべきだ」とか、「米の保護主義的政策に対抗して、日本は欧州と手を結ぶことは勿論、中国とも上手くやり、損をしないようにすべき」との声が強くなっている。しかし民主と自由を国是とする我が国が、今の中国の「自由」、「平等」、「人権」などを踏みにじり、例えば自国の自治区のウイグル人を虐殺、強制収容など、大弾圧を行っている状況に目をつぶり、経済的利益のみで歩み寄るべきなのか疑問だ。
確かに日本の対中貿易は、対米より大きな数字だ。韓国、アセアン皆そうだ。だから、彼らは皆本心では、米中双方にいい顔をしたいとも言われている。日本と価値観が近いとも思われる欧州も、中国のマーケットの魅力には弱い。2010年のノーベル平和賞を中国の劉暁波に贈り、かっこうがよかったノールウエーは、貿易などで虐められると、最終的には降参し、「中国には歯向かいません」といった。
今、欧州との関係で台湾が恐れているのは、数少ない国交樹立国の中で、精神的に世界での一つの柱であるヴァチカンの台湾切りである。2千年の歴史で、初めて欧州以外のアルゼンチンから抜擢された現法王は、中国との交流に極めて熱心だと言われている。大きな市場と金を武器に様々な手段での世界の中国化路線は脅威だ。そう思っていたら、中国の習近平の母校の教授である 許章潤が、習近平批判と受け取られる発言をして、世界のマスコミで取り上げられている。おひざ元から、今の中国の姿勢への批判が上がったのだ。
同教授は、中央公論1月号で日中の識者とともに座談をしている。同人は、どうも、日本の民主と自由には一目をおいているように見える。伝統的に命を張ってでも権力に対峙する中国知識人の真の姿を垣間見る感じだ。同人の身柄がどうなるか大いに心配だ。最近の中国共産党機関紙「人民日報」によると、国家文物局の関係者の発言を引用し、中国には抗日戦争文物が3000個所以上あるとか、こうした場所を訪問する修学旅行や体験ツアーを大いに振興すべきだと述べている。対日微笑みの背後に、歴史問題を武器にする姿勢は変わらないのだ。
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