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2018-07-13 11:16
最先端科学技術開発は「共同研究」方式で行え
加藤 成一
元弁護士
米中貿易戦争が激化している。その根底には知的財産権など先端科学技術研究開発に関する米中間の厳しい摩擦と主導権争いがある。今や、国の科学技術の水準はその国の経済力、軍事力を含め一国の命運を左右し、「科学技術を制する国は世界を制する。」と言っても過言ではない。このように、先端科学技術研究開発をめぐって米中両国はしのぎを削っているが、日本の先端科学技術研究開発は近年米中間の激しい科学技術開発競争のはざまで相当に立ち遅れていると言わざるを得ず、大いに懸念されるところである。ちなみに、世界知的所有権機関(WIPO)によれば、2017年の特許出願件数で中国が日本を抜いて2位となり、3年以内には1位の米国を追い抜くとみられている。その背景として、国の補助金、奨励金、ハイテク企業認定などの政策が指摘されている。
日本の先端科学技術研究開発が立ち遅れた原因としては、国の大学に対する交付金の長期的な減額傾向があげられる。特に2004年の国立大学法人化以後、全国の国立大学法人に対する国の運営費交付金は年々減額されている。そのため大学は民間企業からの寄付金や研究助成金などに頼っている。しかしながら、研究助成金を提供する民間企業の立場は、短期的効率的な企業利益に直結する研究成果の実現であり、中・長期的な基礎的研究への理解や余裕は十分とは言えない。日本の大学が米中の先端科学技術開発競争に伍していくためには、まずは国による大学に対する先端科学技術研究開発予算の画期的な拡大強化が必要不可欠である。
それと同時に、東大、京大、阪大、東京工大、早稲田大、慶応大、など先端科学技術研究を行っている全国の各大学が、大学間で狭い競争をするのではなく、人工知能や超高速コンピューターなどの科学技術研究の最先端分野に限って、これらを研究開発テーマとして、各大学の枠を超えて、全国の各大学から最優秀の研究者、人材を集め、国家の研究開発プロジェクトとして国家的規模による「共同研究」を行い、オールジャパンの総力を結集して最先端科学技術研究開発分野の飛躍的発展を目指すべきである。それによって米中を超える「科学技術大国日本」を再興しなければならない。
日本政府および自由民主党は、人工知能や超高速コンピューターなど最先端分野の科学技術研究開発のために、研究開発テーマを絞って、各大学の枠を超え、各大学から最優秀の研究者、人材を集め、極めて豊富な研究開発国家予算を付けて、速やかに内閣府、文科省、経産省、財務省において調整の上、国家的規模による「最先端科学技術共同研究プロジェクト」を立ち上げるべきことを提案する。このことが日本の最大最高の成長戦略であると同時に、世界に冠たる「科学技術大国日本」として世界の人々に貢献する道であると確信するからである。
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