私はかねがね、正しい規制は正しいマーケットとイノベーションを生み出し、誤った規制や計画は経済に大きなリスクをもたらすと、あちこちで話させていただいています。まさに石炭をめぐる環境はこの通りとなっていて、政府がエネルギー基本計画で2030年時点で石炭発電の比率を26%としていることが、様々な混乱を生み出している面は否定できません。国際的なトレンドを見れば、2030年度で26%というのはかなり非現実的な数字だと思われます。実際先日の欧州中央銀行総裁会議でも、石炭関連の融資を各銀行がどのくらいしているかのストレステストを行うような話も出てきていますし、G7から金融安定化理事会(FSB)におろされて形成されたTask Force on Climate related Financial Disclosure(TCFD)での議論などを見れば、石炭発電が経済的にはかなり大きなリスクとして見られているのが世界の潮流であることは明らかです。