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2017-04-19 11:01
トランプ政権のシリア攻撃は「国際の平和と安全」に有益
加藤 成一
元弁護士
トランプ政権は、4月6日シリア中部のシャイラト空軍基地を巡航ミサイル59発で攻撃した。アサド政権による化学兵器の拡散と使用を阻止し、抑止する狙いがあるとされる。アサド政権側は化学兵器の使用を否定しているが、同政権による反政府勢力地区への爆撃の映像や現地の医師の証言などによれば、サリンなどの化学兵器が使用された可能性が濃厚である。2013年にも同政権の化学兵器使用疑惑で、オバマ前大統領がシリア攻撃を具体的に検討した経緯がある。化学兵器の使用は、日本を含め192か国が締結している国連の「化学兵器禁止条約」第1条違反であり、人道に反する残虐な行為である。
トランプ政権による今回のシリア攻撃については、日本の一部の野党や一部のメデイアは、化学兵器使用の確証がなく、シリアに対する国連安保理非難決議もない段階での武力行使を批判している。しかし、使用の確証には化学兵器禁止機関(OPCW)による現地調査が必要であるが、アサド政権側がこれを受け入れる見込みはない。また、国連安保理非難決議は、常任理事国であるロシア1国が拒否権を行使すれば否決される。現に4月12日にロシアの拒否権行使で否決された。こうした状況を考えると、「武力行使批判」は非現実的な建前論に過ぎず、このような事態を事実上黙認し、放置すれば、悲惨な被害をもたらす化学兵器使用が繰り返えされる恐れがある。英仏独などの欧州諸国や、サウジアラビア、トルコなどはアメリカによる武力行使を支持又は理解する旨表明している。
今回のトランプ政権によるシリアへの武力行使は、「国際の平和と安全」の維持に対するアメリカの軍事力の役割の重要性を改めて世界に示したものである。このことは、シリアのみならず、暴走する北朝鮮の核・ミサイル開発、中国による尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海における力による現状変更の試み、ロシアによるクリミア併合など、「国際の平和と安全」を脅かす国に対しては、「武力行使も辞さない」という、アメリカの力強いメッセージであると共に、それらの国に対する抑止力でもある、と言えよう。
今回のトランプ政権によるシリアへの武力行使は、尖閣諸島奪取を狙う中国に対し、尖閣防衛のためには安保条約第5条に基づくアメリカの武力行使もあり得るとの警告でもあり、日本にとって有益であると言えよう。日本としては、一昨年成立した平和安全法制を最大限活用し、トランプ政権としっかりと連携して抑止力を一層強化し、力による一切の現状変更は許さないという、強い決意と覚悟を今こそ示すべきであろう。
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